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60.新たなステージへ
私たちがここ雲南に来てから4年目に突入しました。
石の上にも3年。
一年間コラムで紹介させていただいたように、
試行錯誤の連続でした。
その甲斐あって現在では高品質の豆を
天候に左右されずに安定して出荷できる状態に到達していると
自負しています。
スタッフとの関係づくりは何より要でありました。
コーヒーの栽培や加工についてのノウハウを
スタッフ達と共有し良い時も悪い時も共に過ごしてきました。
個々の能力もモチベーションも
3年前とは比較にならないほど
飛躍的に高まってきていると感じています。

現在中国の市場では「3in1」と呼ばれている
ミルクと砂糖入りのインスタントコーヒーの需要が
急増してきています。
近頃は農村の商店でもオシャレな嗜好品として若者に人気です。

これから、
本格的にコーヒー需要が高まっていくことは間違いありません。
インスタントを飲んでいる人は本物のドリップコーヒーを、
今までコーヒーを飲まなかった人は
口当たりの良い甘くてクリーミーな
インスタントコーヒーを飲む機会が増えていくでしょう。
後者のインスタントコーヒーの加工技術は、
同じアジア人の味覚を持つ日本のフレーバーティーの加工技術が
中国でも大いに役立つと感じています。

3年を経て
農場の管理を責任持って遂行してくれるスタッフが
順調に育ってきてくれているおかげで、
私たちの仕事は次のステージに移りつつあります。
今年に入って昆明での仕事も増えつつあります。
中国国内でも生産から販売まで
一貫して行っていくことに力を入れています。
日本では近年でこそ
生産者の顔の見える農作物が市場に浸透してきていますが、
コーヒーに関しては今だ国や地域のブランド程度。
中国では消費者の意識がそこまで到達していないのが現状ですが、
食べ物の安全性に常に危機感を持ち
より美食家が多く集う都市部の消費者に邱珈琲をお届けすることが
次なる使命であります。
それと同時に邱農園のさらなる品質の向上と
拡大に取り組んでいきます。

農園は北緯25度に位置します。
コーヒー業界の中では、ここのエリアは
「コーヒーベルト」の中の最後の開拓地と呼ばれています。
世界の大手コーヒー企業が殺到してきています。
交通の便もよくなり、国の食糧政策も後押ししていることから
これからますますコーヒーの産地として
開拓されていくことでしょう。

次なるステージでは中国のコーヒー市場を鷹の目で見渡し
消費者のニーズに答えていきたいと考えています。
新たな収穫を皆様にご報告出来ます様、私たちは挑戦し続けます。
農業は非常に時間のかかる事業です。
卓越した洞察力と先見の目を持たれた邱先生のおかげで、
この地でいち早く有機農法でのコーヒー栽培の技術を開発し
確立しつつあることは最高の財産です。

これまで1年間拙い文章でしたが
お付き合いいただいた読者の皆様に心より感謝申し上げます。
大陸の大自然、民族の多様性を実感できる邱農園に
ぜひ足をお運びください。
美味しいコーヒーでおもてなしいたします。



たしろ まさき

田代 正樹

1977年佐賀県小城市生まれ。
専業農家の長男として日本の農業を身近に感じながら育つ。中米ドミニカ共和国での国際協力事業におよそ2年間携わり、花き輸入商社を経て、現在に至る。
「邱公館食品(雲南)有限公司」加工場長


たしろ つかさ

田代 司

1978年埼玉県浦和市(現さいたま市)生まれ。
ごく普通のサラリーマンの家に育ちながらも、根っからの農業好き。
中米ドミニカ共和国での国際協力事業におよそ2年間携わり、食品会社を経て、現在に至る。専門は有機JAS認証・循環型農業・土壌改良。一児の母
「邱公館食品(雲南)有限公司」農業技術監督


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