雲南では、日本よりひと足早く春が訪れます。
農場の周りは亜熱帯の花の香りが漂い、
穏やかな春風がそよいでいます。
風と一緒にどこからともなく現れるのが、養蜂家です。
彼らは毎年、ミャンマーの国境の近くから蜂箱を携え、
開花前線と共に北上して来ます。
そして2ヶ月間コーヒーの産地にテントを張ります。
コーヒーと混植しているマンゴーの花や、
ライチのような甘い香りの竜眼の花、コーヒーの純白の可憐な花々。
その間を働き蜂は休むことなく飛び交い花の蜜を集めます。
マンゴーと竜眼の蜂蜜は、
しっとりとして南国の果物独特の甘みの強い香りがします。
コーヒーの花から採れる蜂蜜は、さらさらしていて癖がなく、
ジャスミンの香りがします。
自社農園で収穫できる
酸味の少ないコーヒーとの相性がいい蜂蜜です。
午後の作業の休憩時間には屋外でお茶の時間を持ちます。
マンゴーとコーヒーの花の蜜が混ざった蜂蜜に
ミントの生葉を加え熱湯を注ぎアロマティーを入れます。
さわやかで芳醇な香りが口いっぱいに広がり至福の瞬間です。
コーヒーの花が終わる頃、養蜂家の目的地は二手に別れます。
一方は雲南の山岳地帯沿いに菜の花の花粉を集め、
その後韃靼蕎麦の花粉を求めて
何百キロも長距離を移動していきます。
もう一方は、コーヒーの産地にとどまりスモモの花粉を集めます。
コーヒー生産者にとって、
コーヒーの花を確実に受粉してくれる蜂達は、
農場にとって頼もしい存在です。
養蜂家は南国の遊牧民、大切なお客様です。
南国の花の蜜が凝縮された情緒あふれる蜂蜜を、
みなさんにも是非味わっていただきたいと思っています。
|