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33.牛飼い

降雨の後の晴れの日には一斉に雑草が成長します。
35ヘクタールの農園の雑草と病害虫の発生状況を見ながら
作業のスケジュールを決めています。
農園の農道は草刈機で除草できますが、
コーヒーの樹木の周辺はカマとクワを使い
すべて手作業で除草しています。
有機栽培では除草剤を使用することはありません。
降雨時と降雨直後は
急斜面で作業中に転落する危険があるので、除草作業ができません。
降雨と降雨の間の限られた時間に短期集中で作業を行います。
多い日は30人体制での除草作業です。

コーヒー栽培ができない
岩が露出するエリアや傾斜がきついエリアは
雑草が伸び放題になりがちです。
しかし放置すると雑草の種が
隣接するコーヒー栽培エリアに飛んできてしまい手に負えません。

こんな時除草刈機も入れない場所で
危険な作業を担ってくれるスーパースターがいます。
それは牛飼いの連れてくる山羊と水牛の群れ。

山羊と水牛が
大切なコーヒーの実を食べてしまわないように注意して、
エリア限定で農園内を開放します。
するとお腹を空かせた彼らは
ムシャムシャと気持ち良いくらい雑草を平らげていきます。

雲南で農園を営む時、
山羊飼いと水牛飼いとのコミュニケーションは
極めて重要だと実感しています。

彼らは餌を求め周辺を遊牧しているので地元の情報に長けています。
隣接する農園の水管の位置、パートの賃金の変動、
出稼ぎを希望している人の紹介・
近所のいざこざ・コーヒーの収穫情報まで、
日刊地元情報誌ともいえるような情報の玉手箱。
牛飼いとの共存共栄の関係は
もしかしたら古代から変わっていないのかもしれません。
ネットでの情報収集が日常になった私たちにとって、
口伝ての情報はロマンを感じるものでもあります。


2010年7月21日(水)

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