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43.農村の赤ちゃん
5年ほど前までは
村に近い小さな診療所で自然分娩で出産する母親がほとんどでした。
近年は医療の普及と共に
保山市街に住む親戚や知人を頼って、病院で出産します。
出産のスタイルは医師による医療介入で、
全例が帝王切開となっています。
一昔前のアメリカと同じで
自然分娩を望む妊婦さんはいなくなりました。

タイ族の家族では、
赤ちゃんを迎えると生まれて初めての満月の日にお祝いをします。
日本でいうとちょうどお宮参りの時期にあたります。
親戚や近所の人を集め家族がご馳走を振舞い、
招待客はお祝いにたまごや牛乳、ベビー服を持ってきます。
「八」のつく現金をお祝いに贈ることも多くあります。
母乳栄養で育てる母親はごく少数なので、粉ミルクも喜ばれます。
日本製のミルクは
保山市内の一店舗で取り扱っていますが最高級品。
日本で買うと一缶2000円程の品が、保山では4500円もします。
ミルクは経済的な理由で
規定量より薄めて飲ませる家庭が多いので
赤ちゃんは小さめに育っていて
栄養に問題がある乳児も時折見受けられます。

出産した女性が産後、
家事以外の仕事をするようになるのは3ヶ月目からです。
1歳の誕生日までは
子育ての合間を見て農作業の手伝いをします。
親戚や家族を集め盛大に1歳のお祝いをします。
その日を境に祖母に子供を預け町に出稼ぎにでたり、
農作業の仕事を本格的に始めます。

村で育児の必須の道具は、おんぶ紐とお手製ベビーカー。

おんぶ紐は、一枚の大きな布に
赤ちゃんを足を伸ばした状態で手巻き寿司のように包み、
お尻に紐をあてて、お母さんの背中に結び付けます。
見ているほうは股関節の脱臼が心配になりますが、
伝統的な抱き方のようです。
布には一つ一つハンドメイドの美しい刺繍が施されています。
竜やパンダ等の古典的な柄のものから、
子供たちに人気のアニメの喜羊羊や
ミッキーマウスの柄があります。

お手製ベビーカーに赤ちゃんを乗せて
大自然の山並みの中を夕方散歩する風景は
なんとも微笑ましいものです。


2010年9月29日(水)

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