加工場の周辺には7つの少数民族が
300人から1000人程度の集落で暮らしています。
一つ一つの集落は山奥深くに点在しています。
村内は同じ民族だけでなく、タイ族と漢族、
ミャオ族と漢族が共に暮らしている場合もあります。
コーヒーの産地の視察では、
最初に村長や村の有力者へ挨拶に伺います。
私たちは
専門のコーヒーの樹木の状態・生産の情報を得るだけでなく、
生産者の暮らしぶりを知ることがとても大切だと考えています。
7つの民族ごとに文化や価値観が違います。
たとえ小さな違いでも、
誤解やすれ違いなく信頼を得られるように注意を払っています。
村長の村自慢に耳を傾けると、
民族が違っても農村の人々が共通して誇りに思っていることが
3つあります。
一つ目に一番大切にしているのがお年寄りです。
特に村で最長寿の老人に、村人は誇りと敬意を持って接しています。
どの村長も真っ先に案内してくれるのは長老の家です。
今まで出会った最長老は92歳のミャオ族の女性です。
一つの家の敷地内になんと5世代で暮らしていました。
2つ目に誇りに思っているのは村の中で新しく建て替えた家。
世代を超えて家族が暮らす家は富の象徴。
今までの少数民族は、黒く小さい瓦を重ねた屋根に
土で固めたレンガを使った家に住んでいました。
最新の家はコンクリートと焼いたレンガを使って建築され、
壁はタイルで飾られています。
室内には大きめのテレビやステレオ・洗濯機を置き、
屋根の上には太陽光で暖まる温水器の設備が備わっています。
新しい持ち家は車やバイクとは別格のあこがれの対象です。
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タイ族の新築祝い |
3つ目に人々が大切にしているものが手作業で作製された民族衣装。
民族衣装は家族で受け継いでいきます。
独自の言語を持つミャオ族の女性は想像豊かで、
伝統の刺繍パターンに個性的なアレンジを加えています。
色とりどりの糸を自在に使って、
家事の合間に細かい刺繍をさす姿を見かけます。
農村に暮らす少数民族は農村籍の壁もあり、
現金収入を得て経済的な貧困から抜け出ることは
容易ではありません。
一方で、生活の中には数少ない選択肢しかないからこそ、
家族が団結して愛情豊かに、
伝統の感性が研ぎ澄まされているのかもしれません。
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