第284回
中国と海外:不動産市場の受け止め方の違いとは?
万科企業のA株とB株の株価逆転現象について、
前回は優良銘柄として
改めて証明したことになったことで結びましたが、
当然、B株株価が過大評価されすぎた、
ともいえるかもしれません。
2004年8月終わりには
3.7香港ドルを切る水準だった
万科企業のB株株価は、
2005年2月22日で終値として
6香港ドルをつけています。
その後は、若干下げており、
5.00〜5.50香港ドルの間で推移しているものの、
2005年2月22日終値は2004年8月終わりごろと比べて
60%以上急騰していることになります。
A株が下げてきているわけではありませんが、
A株と比べて、急激にB株が評価されたとは
見ることができると思います。
2004年本決算で好業績を発表した
翌3月22日の取引では
1日で4%以上上げるなど、
業績堅調な銘柄でも、
若干アップダウンの激しい展開が見られるのは、
リスクの一つとして認識したいところです。
この現象をどう分析するのかが、
今後の万科企業の株価パフォーマンスを探る上では
重要になってきます。
ここで思い出されるのは、
以前に紹介した
2004年通年のGDP(国内総生産)が発表された時の、
中国本土と香港の各市場の受け止め方の違いです。
同じ情報でも、中国本土の投資家と、
海外投資家の考え方に差異が出て、
それが株価に反映されることは、
今回の万科企業でも当てはまるかもしれません。
以前に紹介した
住宅ローンの最低利率の引き上げについて、
さらに、それ以前からささやかれ、
今後も警戒されている
不動産市場の過熱抑制策について、
海外投資家を中心としたB株では
あまり材料にならなかったのに対して、
A株株主としての中国本土の投資家からは
嫌気されたというのは十分に考えられますし、
今回の逆転現象の要因の一つになったかもしれません。
中国本土は、
全体的に株式投資に対して弱含んでいますので、
好業績となった銘柄でも、
政策の不安定さが強調される形で、
相場のマインドが
A株株価を引き下げたともいえます。
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