| 第255回9.5%をめぐる中国本土と香港の受け止め方の違い
 中国のGDPの成長率といえば、2005年1月25日に
 2004年通年が9.5%成長と発表された当初、
 中国本土市場と香港市場では
 若干受け取られた方が違ったようです。
 そこには、両者の現在の中国経済に対する見方が
 現れているようで、
 興味深いものがありました。
 中国本土市場では、「やはり高い水準」と受け取られました。
 そのために、マクロ調整策が
 今後も強化されていくとの懸念が広がり、
 どちらかといえば、
 マイナスの情報として受け取られた傾向があります。
 「強い数字は当たり前」
 という中国経済全般に対する自信の
 裏返しでもありますが、
 相場観としては弱気になっているところで、
 逆に「高い水準」が嫌気されたというところでしょうか。
 一方の香港市場では、9.5%という発表を受けて、
 全体としては、「思ったより高い」と考えられたようです。
 その背景には、当然、
 もっと低い水準だと思った、
 つまり、マクロ調整策がもっと影響するだろう
 との見方があったといえます。
 これは、結局、マクロ調整策は
 経済成長全体に大きな影響を与えなかった、
 では、企業業績にも
 大きな影響を与えていない可能性が高い、
 と判断される材料ともなりました。
 香港市場では、そうした意味ではプラスの情報として
 考えられた傾向があります。
 香港市場では、総じて中国政府が推し進める
 マクロ調整策を非常に警戒し、
 景気の落ち込み、企業業績の悪化、相場への打撃、
 という悪循環が強く認識されていたことも意味します。
 以前にもご紹介しましたが、
 香港のアナリストが指摘する
 「多くの機関投資家が中国の引き締め策を誤解している」
 という点を実証したことになりそうです。
 前回お話したように、2月18日に国家統計局は記者会見を開きますが、
 その場で9.5%という数字は見直されそうです。
 それに対して、私個人としては、
 相場は大きくは反応しないだろうと考えていますが、
 上記のような、
 本土市場と香港市場の現状認識や特性を押さえて、
 経済指標見直しの推移を見守りたいと思います。
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