第25回
漫画からのスタート−「北方の正月」
前回の話の続きです。
小さな画廊のおじさんは
この画はこの人の画いたもの、
あの画はこの人が画いたんだよと、
それぞれ農民画家を紹介してくれました。
恐れ多くも集まって下さった画家達は
農民画界の中では
みんな有名な方たちばかりで
私の持っている数少ない農民画の資料にも
写真付きで載っている人たちばかりでした。
もう嬉しくて嬉しくて
その店でずっと熱く農民画について語りました。
店のおじさんも物凄く満足そうに微笑んでいました。
さて、小さな画廊のおじさんが、
最初に紹介してくれたのが、
第22回の「白樺林の秋」の作者、
王文吉さんでした。
彼は1971年にここ戸県で生まれ、
小さな頃から
「連環画」(漫画のようなもの)を読むのが好きで、
その画を見ているうちに
自分も画が画きたいと思い始め、
高校卒業後に画を習い始めました。
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連環画
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今までの農民画家は農家の子として生まれ
日々農作業を手伝いながら、画が好きで
農民画家になったという人が多かったのですが
この人は漫画がきっかけだったのです。
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王文吉さん
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王文吉さんも今では
戸県農民画を代表する画家であり、
戸県農民画展覧館の副館長でもあります。
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王文吉 「北方の正月」
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今回の画は王文吉さんの「北方の正月」です。
第2回の「大晦日」でも説明したように
中国では旧暦の1月1日を「春節」と呼び、
その時にはあちこちで爆竹を鳴らして
みんなで新年を祝います。
雪の中、近所の子供達が集まって
爆竹を鳴らしているようすが画かれています。
爆竹が終わったあとは爆竹のカスが散らばり
掃除がめちゃくちゃ大変です。
北京などの都市部では
爆竹を鳴らすのには規制があり
決まった日、場所を守らないといけません。
しかし田舎では、店がオープンした時や、
結婚式、葬式、卒業式、お客が来た時などなど、
年中爆竹の音でにぎわっています。
爆竹が鳴り響く音は本当にうるさいです。
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