第235回
毛沢東をマクルーハン予言で解読する・1
≪1200頁の大著!
「中国文化大革命の大宣伝」を読む≫の最終回です。
しかし、この文化大革命の権力抗争ドキュメントを読んで、
中国の歴史を旧態依然と呆れたり、
突き放したり、ただ蔑視するのでは、
この大著を読む価値はないと思います。
ここで「メディアはメッセージである」といった
メディアの預言者・マクルーハンの警句を引用しておきます。
マクルーハンには「未来の未来は現在である」
といった警句もあります。
未来だと思って見ているのは過去にすぎない――、
という意味でしょうが、その伝を借りれば、読後、
いまある自分環境を見回しながら、
いろいろと空想をめぐらすことできることは、
じつに愉しい作業です。
さらに進化する
デジタル・ネットワーク・システムを駆使して、
≪漢字一元論的キーワード≫を宣伝武器、いや戦略魔術とし、
大衆を強引に誘導するトリックスターが
≪次なる毛沢東≫なのかなァと想像をめぐらしたりすると・・・
現代的推理としては、
ちょっと面白いものだと思いませんでしょうか?
ところで、北京在住の起業家で中国通の柳田洋さんが
このhiQの連載コラム≪第1043回≫で
「中国で民主化運動が盛り上がらないワケ」と題する
興味深いエッセイを書いておられました。
「20周年を迎えた中国の民主化運動が
今一つ盛り上がらない理由」として
「現在の中国共産党一党独裁体制に代わるような
国家が目指す新しいビジョン」が提示されていない・・・
と鋭く指摘しておられました。
これからの中国の未来像を掴むキーポイントも、
やはり卓越した≪思想宣伝力≫
の駆使となるのでしょうか?
ちなみに、本書は確かに
“長尺”の読み物でありますが、
よくある、学識や衒学(えんがく)趣味をひけらかす
難渋難解な本ではありません。
推理小説を読む気分ですらすらと通読できます。
≪難しくても読み易い≫・・・、
こうした書き手はとても少なくなっておりますが、
卓越した文章力――、これも著者の特性です。
夏休みや9月連休をどう過ごそうかと考えている人は、
読破・挑戦してみてください。
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