第236回
毛沢東をマクルーハン予言で解読する・2
「中国文化大革命の大宣伝」(芸術新聞社)
という大著は、読後、いろいろと未来社会を
夢想・空想・想像させてくれる刺激的な本だ――
毛沢東の謎をマクルーハン予言で
ちょっと解読してみよう――という話の続きです。
メディアの預言者・マクルーハンの警句をもう一発。
「情報に情報を塗りつけることで、
メディアは大いなる富を生む」――。
もちろん、アナログな「壁新聞」は
いまやデジタルな「BLOG」に
メディアの役割を譲りつつありますが、
きっと、毛沢東という“言霊の天才”は、
インターネットのWEB2.0
(ユーザー参加のWorld Wide Webの進化形)
のような双方向自在のマルチ仕掛けを
脳の中に描ける人だったのかも知れません。
もし、“偉大的導師”と崇められた毛沢東が
このインターネットの時代に生きていたら、
キーボードは打てないかもしれませんが、
WEBの戦略的指示=メディア・メッセージの
司令塔パワーとして何をやらかしたか?
興味の尽きることはありませんネ。
奇しくも、
この7/5にはウルムチ暴動が起こり、
ネットの書き込み禁止、
ケータイの海外通話の一時遮断
という緊急事態が報じられました。
また、昨年12月には、
民主化運動の知識人たちによる
「零八憲章」(れいはちけんしょう)宣言、
一方、今年6月には、
当局によるインターネット検閲ソフト
「綠壩・花季护航(りょくは・かきごこう)」
(通称グリーンダム)の設置義務問題も報じられました。
つい、いろいろと≪先読空想≫をしてしまいます。
「メディアはメッセージ」にとどまらず、
大衆を快感に導引する「メディアはマッサージ」
として駆使できるのは、いったい誰か?
こうした≪面白空想≫も、一中国に限りませんが、
日本でもアメリカでもアラブの世界にも敷衍できる
“未来の文化大革命のデジタル推理”となるはずです。
ともあれ、勝手なことを夢想しながら、
僕は本を閉じました。
アブダクション(仮説導引推理)の
つきない刺激的なパワーを持つ大著です。
夏休みや9月連休の≪熟読本≫の第1候補として、
ぜひ、あなたもリストアップしてください。
なんといっても「未来の未来は現在」でありますからネ。
こうした大著を出版不況のさなかに刊行する
版元・芸術新聞社の勇気に感心すると共に、
久しぶりに接した大著の“快感”に酔ったせいでしょうか(?)
書評が長くなってしまってゴメンなさい。
明日から、またガンの話に戻します。
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