| 第201回桜澤如一の本を読んだことがありますか?
 
 ガンには最新療法と称する西洋医学説がたくさんあります。
 しかし、患者は医学説の≪実験用試験管≫ではありません。
 もちろん、患者はただの≪壊れた機械≫でもありません。
 ズバリ、生身のガン患者の最大の願いとは、
 ≪明日のいのち≫が欲しい、掴みたい――、これに尽きます。
 ここが<マクロ・エンパワー=大生命力原理>を提唱する所以です。
 ≪マクロ・エンパワー≫とはMacrobiotech Empowermentの略語で、<自己実現能力>をアップさせる、僕が発案した造語です。
 ●Macrobiotechとは≪いのちの最高原理≫という意味で、
 マクロビオティック玄米菜食法の始祖・桜澤如一が
 創案し命名したものです。
 ●Empowermentとは、直訳すれば<力をつける>意味。
 近年、社会学の立場から、
 不当に社会的な抑圧を受けている人たちが
 <力(パワー)をつける>連帯運動として生まれた、
 <自己決定能力><自己実現能力>を見直す新しい発想です。
 もう少し具体的にいえば、<マクロ・エンパワー=大生命力原理>とは、
 ガンのような難病に襲われた患者が、
 社会的な不当抑圧や強制された治療から脱出するために、
 自身で<生命力(パワー)をつける>ことです。
 これまでの欧米妄信主義を改めて、本来の日本人の風土や体質に合った
 <自己決定能力><自己実現能力>を、
 家族や友人たちと連帯して高めていくという、
 ≪生命力増強≫の自立発想と思ってください。
 もちろん、イヤだと云う人に、無理に玄米菜食法を強制はいたしませんが、
 このコラムでは繰り返し紹介してきた、
 マクロビオティック食養生法の始祖である、
 桜澤如一の提唱する≪身土不二 しんどふじ≫
 (人間の体と風土は一体である)を基本とする
 ≪無双原理 むそうげんり≫
 (比べることのない最高生命原理)という、
 いかにも日本人らしい大生命観については、
 患者のみならず、健常者の方々も、
 是非一度、勉強していただきたいと思っています。
 たとえば、桜澤如一の「東洋医学の哲学――最高判断力の書」については、
 本コラムの第182回でちょっと触れましたので
 再読してみてください。
 また、「身土不二の原則」(昭和11年版)という名著には、
 まさに≪マクロ・エンパワー≫を掴む秘訣が詰まっています。
 最後の「むすび」に以下のようなことが書いてあります。
 <生命は食物の変形である、流れである。生物は食物のおばけであり(略)
 自然に和し、自然に法り(のっとり)、
 神代(むかし)ながらの道を生きれば自然に健康は保たれる。
 欧米文化の模倣が極端になるに従って(略)
 昔の不老長寿の日本は
 いまや世界文化国第一の病魔国である(略)>
 どうでしょうか?なかなか心胆にズシン!と響く言葉だと思いませんか?
 この天才論客の奥義書を読めば、
 近代125年、いや、とくに戦後65年に、
 身も心も欧米盲従主義にどっぷり使ってしまった
 ≪日本と日本人の欠点≫に目が開かれるばかりか、
 ≪元気で長生き≫の生命原理が、
 じつにドラマチックに書かれているから面白いのです。
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