| 第202回ナラティヴ・アプローチ(自物語)のすすめ
 
 僕は、別に日進月歩といわれる西洋医学の研究開発を
 頭からバカにしているわけではありません。
 しかし、こと、いのちとは、生身の人間自身の問題です。
 患者は医学説の<実験用試験管>でもなければ、
 患者は<壊れた機械>でもありません。
 ですから、10年間続けてきたマクロビオティック食養生法の体験から
 自己実現能力をつけるための
 ≪大生命力原理=マクロ・エンパワー≫をすすめする――
 マクロビオティック食養生法の始祖・桜澤如一の
 大生命観の本については、患者のみならず、健常者の方々も、
 是非一度、勉強していただきたい――と、
 一患者としては、ちょっと大それたことを
 書いてしまったわけです。
 さて、自分の<生命力をより強くアップする>――といっても、具体的にはどうすればよいのか?
 玄米菜食を励行する、呼吸法を日々、続ける・・・
 これはよいことですが、
 もうひとつ、<いのちをエンパワーする>方法として、
 日頃から、<自らの物語を創る>=
 <ナラティヴ・アプローチ>のクセを付けることをすすめています。
 これは、社会学や精神医学の分野では、<ナラティヴ・セラピー>=物語療法、家庭療法などと呼ばれて
 注目されています。
 ≪ナラティヴ≫とは物語性。
 つまり、ライフストーリーや病気は
 語られる=<語り直されるもの>で、
 それによって、個人個人の可変力が生み出される
 という考え方です。
 学者みたいに、小難しい理屈は述べませんが、あなたも、欧米借り物の勉強をするだけではなく、
 自分のいのちの日記、いや、自分の言葉で
 <いのちの物語を創る>クセにしてみませんか?
 美しい日本語で物語を語るとは、古事記、万葉集、源氏物語以来、
 風土に根ざして連綿と育まれてきた、
 心のパワーアップ=エンパワー作業です。
 僕の敬愛するマクロビオティックの始祖・桜澤如一は、西洋医学から東洋医学を熟知した
 <いのちの論理の達人>でありますが、
 わが身や、わがいのちに照らして
 ≪自分の身体用語でいのちを語る≫=<ナラティヴ・アプローチ>の
 とても上手い人なんですね。
 そこが、紋切り型で、欧米医学のモノマネ論文で
 糊口をぬぐっている学者とは違いところです。
 その著書では、<生命は食物の変形である、流れである。
 生物は食物のおばけである>
 <西欧医学なんて骨折り損のくたびれもうけだ>と、
 痛快にして鋭い<ナラティヴ・メッセージ>が
 ポンポン飛び出してきます。
 僕は、この桜澤という人の<語り部>といいますか、
 日本人らしい風土に根ざした
 <物語の創作者>の素晴らしさに魅力を感じ、
 またパワーをたくさん貰っていることとなります。
 というわけで、時間を見つけて読んでもらいたいと思っていますが、
 皆さんの中には、日記やBLOGを付けている人、
 また、和歌や詩を作ることが楽しみにしている方が
 おられると思います。
 これは自分を再確認し、
 また次の自分の物語を創造していく作業として
 とても<ナラティヴ>にして<エンパワー>で、よいことです。
 最近は、○×式の子供の教育を笑えません。見識のあると思われている大人たちが、
 欧米借り物の<言葉と論理>で、
 己の人生、いや、いのちそのものを誤魔化しているからです。
 じつは、桜澤さんも、若き日から和歌、詩歌の達人であり、その才能が<ナラティヴ>で
 <エンパワー>に満ちていたからこそ、
 後年、欧米人もびっくりした
 <いのちの最高原理>を生み出したと、僕は思っています。
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