第57回
マクロビオティックと王貞治さん、橋幸夫さん
僕が、10年前、退院後の養生法として、
マクロビオティック玄米菜食法を取り入れたときは、
まわりに人たちは、なにかいかがわしい、宗教まがいの療法に
はまたのではないかと――誤解する人が沢山いました。
それほど、人口に膾炙していませんでした。
「エー? 魚のマグロを食べてガンを治す?そんな馬鹿な」と、
トンチンカンなことを言う人もいました。
いまでは笑い話となり、とくに女性を中心に、
慢性病や美容のために、マクロビオティックの玄米菜食を
取り入れる人が増えていることはとてもよいことだと思います。
日本人は、ともすると、東洋医学とか伝統療法というと、
うさん臭い療法だと、“洗脳”されているきらいがあります。
マクロビオティックは、1世紀も前に、
日本の漢方医の石塚左玄や食養研究家の桜澤如一によって
創案された東洋医学、伝統療法に基づいた食事療法ですが、
桜澤如一らが、欧米にこの療法を広めたため、
いまでは、歌手のマドンナやトム・クルーズらの
いわゆるセレブが自らの健康のために
取り入れていることが分かるや、
日本にもその情報が逆輸入されて、
一気に女性の間に広まったわけです。
10年一昔、まったく、隔世の感があります。
日本の有名人の間でも、さかんに取り入れて、
病気に負けない体質に変えるために、
食事を変えよう、マクロビオティックの玄米菜食法を続けよう
という人が、ほんとうに増えているようです。
このコラムの前の連載「気がつけばあなたもガン」の中で、
元ソフトバンクの監督であり、胃ガンと闘った
王貞治さんが、娘さんの王理恵さんのアドバイスで
マクロビオティックを始めている――という話を紹介しました。
これは王理恵さんから直接伺った話ではありませんが、
「文藝春秋SPECIAL」2008年4月号の
「長寿の食卓―大特集・私の長寿食、教えます」
という特集の中にエッセイを書いており、
各界有名人50余人による「長寿食」も、
僕の「延命食」の秘話を総集したものですが、
たまたま、僕も
「ガン切らずに10年目!「偽食」から「正食」へ――僕の延命食」
というエッセイを寄稿しましたので、
王さんのエッセイを知ったわけです。
理恵さんは「マクロビオティック玄米菜食法」を勉強して、
胃ガンの王監督の食事を変え、
「玄米、雑穀、野菜の生活」という題で、
「一昨年、父が母と同じ胃がんになったときは、
この知識と経験がだいぶ役にたってくれました」
と書いておられますが、素晴らしい話でした。
さて、「マクロビオティックと有名人」といえば、最近、
「宇宙人からの贈りもの」という近刊が贈られてきまして、
これは歌手の橋幸夫さんが母上の認知症介護の秘話を綴った、
感動の書ですが、その冒頭には
「60代からの生き方」という章があり、
自ら、眼底出血をマクロビオティックの食事で克服した
という話が出てきたのです。
びっくりするとともに、
多くの人たちが、病院の薬や治療だけでなく、
マクロビオティックを始めとした、体質改善療法を
いろいろ工夫しているのだナァと思って、感心したわけです。
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