第97回
人財をつくる その2
60日前 店長は99%経営者
松井さんが新しいカフェを
ゼロからスタートさせる事が決まった時、
真っ先に手を上げて移籍してくれ、
多くの調査、分析をしてくれた斎藤さんを失うことは
大きな痛手です。
松井さんが斎藤さんを初代の店長に
と考えていた理由は、
何よりも斎藤さん自身が松井さんのことを
よく理解していてくれたからです。
しかし松井さんは斎藤さんを心よく送り出しました。
今日から文字通り1人で
全ての仕事をやらなければなりません。
会社側も心配し、
新たにカフェ事業の参加を希望する社員や
知り合いから募ってみましたが
1名の応募もありません。
芝さんや四本さんも心配はしてくれますが、
これだけはどうにもなりません。
松井さん、独立をして自家焙煎の店を開業した
ベルニーニの岩崎さんに急に会いたくなりました。
すばらしいコーヒー豆を紹介してくれた岩崎さんを
久し振りに訪ねた松井さん。
カフェの工事が始まる事を伝えると
とても喜んでくれました。
そして、斎藤さんがやめて1人になった事を話すと
岩崎さんから思いもかけない言葉が飛び出しました。
「斎藤さんがやめた事は残念です。
でもこれで松井さんが店長になれますよ。
店長とは99%経営者です。
経営者だから、お客様の喜びを
100%自分の喜びにする事が出来ます。」
「なぜ100%ではなく99%の経営者なのですか」
松井さんはたずねました。
「それは松井さんがまだ会社の社長さんではないでしょ。
だから全てのお金を100%自由に出来ません。
そして、お父様でいらっしゃる社長さんはおそらく
営業時間の1%もお店にこないと思います。
だから99%なんです。
松井さんは全て1人で始めからやる覚悟が必要です。
1人しかいないなんて甘い。
貴方1人もいるのです。
よく『でもしか』人生と云います。
1人『しか』いないからこの位『でも』仕様が無いと
云い訳をする松井さんになりたいのですか。
それでやめていった斎藤さんは安心できますか」
松井正彦 36才
この日が本当の第二の人生が始まりました。
『店長は99%経営者
店長が変わると売上は上と下で20%変わる』
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