第60回
ストアコンセプトの実際 その5
114日前 失敗を知っているからプロ

村田さんが紹介した芝さんは現在45才です。
経歴は何と大学(工学部)を出てから
大阪の辻調理師学校を出て大阪で働き、
フランス料理、イタリア料理店を展開した
社長の右腕として活躍し、
東京に戻ってプランニングの仕事をしています。
常に現場を大切にする「仕事人」です。

松井さんは今までの経緯をくわしく話し
自分達が考えた業態のコンセプトについて意見を求めました。
芝さんの答えはこうでした。
「確かにこの二毛作型店舗のコンセプトは
良く考えられ、この立地特性に合っていると思います。
全くこの業界を知らない松井さんが
ここまで調べ検証した事は素晴らしい。
東銀座の店の成功も
パブやブラッスリーと云ったアルコール主体でなく
カフェが良いと云う考えが
企業の担当者にあったので成功したのです。
売上を追うなら
アルコールメニュー中心のパブの方が上がります。
しかし運営は難しい。
二毛作型の店を成功させるには、
夜の業態の店舗イメージや
厨房機能、商品を優先させた方が良い結果が得られます。
昼の機能優先の店舗で夜の業態を考えても
来店動機が薄れるからです。」

「ところで松井さん、
今まで行った市場調査の資料を
差しつかえなかったら見せてもらいないでしょうか」
と芝さんが続けました。
松井さん、大手のセルフサービスカフェチェーンの資料や
カフェマップを出した所
芝さんから思いがけない言葉返って来ました。
「松井さん、この事業は失敗する道をあゆんでいます。
その理由は、数字の根拠がなく、
すべて人の資料にたよっています。」

松井さんは青くなりました。
全くその通りなのです。
かつて出された
大手のチェーンの企画書の調査をうのみにして
自ら具体的な調査をしていなかったのです。


『プロは失敗した事をいつまでも忘れない。
アマチュアは良かったをいつまでも忘れない』


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