第61回
ストアコンセプトの実際 その6
106日前 あって七クセが立地特性

芝さんから、叱られた松井さんと斎藤さんは
さっそく翌日から芝さんからもらった調査票を元に
街に飛び出しました。

芝さんの調査票はシンプルでした。
それは2つの理由があったのです。
1つ目は経営者自らが調査の先頭に立ち、
出店したい業種、業態が
その街に必要とされているかと肌で感じる事。
但しそれは感覚と云う感性だけでなく
数値的な裏付けが最低必要であること。
2つ目は立地調査を専門にしている調査会社を起用して
専門家集団の考え方を採りいれると云うことです。

後者は当然担当の費用がかかります。
あるチェーン店では全投資額の5%から10%を
この調査に投入するケースもあるのです。
1店の成功は1000店の母体です。
もし成功すればその費用対効果は充ニ分にあるのです。

松井さんはまず前者の自らが調査する事がこの場合
最も重要と考えました。
松井さんは前職の旅行代理店に勤めていた時と
同じと思ったのです。
ありきたりのツアーの企画では
旅行代理店は成功しません。
まず旅行先の街の歴史から始まり、
街のスミズミまで足で歩き
人と人の出会いや感動を、身をもって体験する事、
その結果はどの街にも個性があり、クセがある。
それは非日常性の楽しみにつながるからです。

松井さんは一週間、恵比寿の街をくまなく歩きました。
前に作ったカフェマップ以上の資料を集めました。
その分析を芝さんに報告しました。
「この街は素晴らしい、7つのくつ(魅力)を持っている。
あって七クセと云うがその通りだった。
カフェにとってこの街は
『ターゲット×モチベーション−競合度』
が少なく成功率が極めて高い」
と一気に話したのでした。


『特性はクセと思えば良い、
クセには良いクセと悪いクセがある』


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