第93回
店造りが始まった その8
80日前 足で買え!1円でも安く。それはかならずある
どうしたら出費を抑えることができるか
考え続けた松井さん。
かつて専務の所に大手のセルフサービスカフェの
フランチャイズチェーン本部から提案された
出店企画書があった事を思い出しました。
提案された出店企画書の
売上予測の正確さを確認した時に、
さすがと思いましたが、
投下資本の事は忘れていました。
四本さんや芝さんに相談をしたら
気を悪くするかなと、
少し気がとがめたのですが
比較する方法はそれしかありません。s
出店企画書に目を通すと
松井さん、その数字を見てびっくりしました。
チェーン店の投資額は総額で66000千円です。
内外総費坪当り750千/坪で30000千円。
四本さんと芝さんの見積りより
4000千円程多かったのです。
厨房投資はほぼ同じ額でした。
そして四本さんと芝さんに
心の内であやまりました。
投下資本の算出の項目はほぼ同じで
見落しているものはありません。
四本さんが出した坪当り750千円と
チェーン店の坪当り750千円は同額でした。
ただ四本さんが出した750千円の部材は天然大理石、
60cm角のイタリア製のタイルを始め
木工事の部材が高級でした。
松井さんは誇りさえ感じました。
チェーン店と同じ内装工事単価で
1クラス上の内装の店を造る事が出来るのです。
しかし、その事に
どうしても気が晴れない松井さん、
翌日、四本さんと芝さんに
正直に打ち明けてあやまり、聞いてみました。
四本さんは笑いながらこう云いました。
「松井さん、650千円の坪単価と
750千円の坪単価の本質的な違いを
理解していただければ充分です。
実は私は750千円の部材を使って
650千円の単価で仕上げたいんです。
それには松井さんの協力が必要です。
明日からメーカーや商社や輸入代理店の所に
私と一緒に行って下さい。
松井さんの店を我らのショールームとして
利用する事に協力してもらうのです。
これだけの場所です。
きっと協力してくれます。」
『相手先の心理を読む把む
利害を超えた真の協力者が生れる』
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