第94回
店造りが始まった その9
65日前 3社で競争 以外や一番高い業者に決める
平面プランが決定したのは80日前、
基本の立面図、天井図も同時に出来ました。
それに5日間の間に家具や什器、内装部材、
厨房機器の細かい選定も終えました。
これで業者さんを呼んで
見積り説明ができると云う事です。
しかしここで1つの問題が持ち上りました。
空調工事の事です。
事務所の仕様だった物件の空調設備では
充分な環境が整わないと
専門業者から報告があったのです。
一部の補強でいけると思っていた松井さん、
1m2当り250kcalは必要と聞いてびっくりしました。
通常なら150kcalで充分です。※
2倍近く必要だという報告を受けて
それを補える予算があるか心配になりました。
しかしセルフサービスカフェの
内装工事で起るトラブルの大半が、
空調の能力不足と排水の細さ、
電気容量の不足であると四本さんから聞いたら
どうしても空調工事の計画を
根本から考え直さなければいけないと思いました。
この10日間、松井さんと四本さんは
内装部材メーカー、商社、
輸入業者を20社も訪問しました。
協力的な所、不在な所、やんわり追い返された所、
様々な所がありました。
結局、新しい素材や
新しい販売ルートを開拓したいと思っていた業者が、
実際、恵比寿の現場まで足を運んでくれました。
その成果は大きいものがありました。
大理石の壁、60mの大きい床用タイル、
銘石のカウンター、輸入物のイス、テーブル、
輸入物の手洗い、化粧台等が
大幅な割引で契約出来たのです。
3社による見積りはその5日后に出ました。
松井さんが選んだのは
(一番安い見積りを出した業者よりも)
2000千円も高い内装業者でした。
家具屋出身のその業者が造った10年前の店は
今でもピカピカで狂いのない仕上げを
自分の目で確めてきたからです。
※8畳の和室にクーラーが
冷却に必要とする熱量は約2200kcal/h
1m2当り150〜160kcalの熱量が必要となります。
厨房は1m2当り250kcalの熱量が必要になります。
『1本のクギの曲がりが一生気になる
本当の技を持つ仕事師の姿勢だ』
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