第1058回
「ヤオハンでの経験に感謝しています」
皆さんは「ヤオハン」という、
いまは倒産してしまった会社のことを
ご存知ですか。
一時期、中国進出に燃えた企業集団で、
この会社のことや、経営にあたられていた
和田一夫さんのことは、
邱さんの本の中でも
しばしば取り上げられました。
私が邱さんの文章を読むようになった
昭和54年に発行された本に
『悪い世の中に生きる知恵』
という本があります。
「気がつけば、あなたもガン」を
連載されている関根進さんが、
「週刊ポスト」の編集長をされていたころ、
同誌に連載され、そのあとに出版されました。
この本には
「なぜ八百半がシンガポールで成功したか」
という章がもうけられていて、
私の知るところ、
この箇所が「ヤオハン」のことが
邱さんの本でとりあげられた最初です。
いま北京で生活なさっている日本人女性が
最初に入社した会社が
「ヤオハン」であったことを知り
そのようなことが頭によぎったので、
次のようにお伝えしました。
「ヤオハンさんにお勤めでしたか。
ヤオハンさんのことは邱先生のご本では
昭和54年ごろの著作に登場します。
そのあと、ヤオハンさんのことや
経営の任にあたられていた和田一夫さんのことが
先生のご本でよくとりあげられ、
和田一夫さんと邱先生は
波長が合っている感じでした。
残念なことにヤオハンさんが倒産され、
大変でしたね。ご苦労さまでした。」
すると次のようなご感想がかえってきました。
「ヤオハンが昭和54年という早い時期に
邱先生の著書に登場していたとは
知りませんでした。
ヤオハンは倒産しましたが、
私達の代では、会社を恨むというより、
むしろ色んな経験をさせてもらって、
同期のきずなもでき、
ヤオハンに感謝している人が多いです。
ヤオハンから中国に派遣され、
倒産後もそのまま中国に残って
活躍している人もいるようです。」
ヤオハンのことをうらむのでなく、
感謝している人が多いとうかがうと
なにか救われたような気持ちになります。
ヤオハンのパイオニア精神は
ヤオハンと関わりを持った方々の心に、
いまも生きているのかもしれません。
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