第751回
生活と美とのかかわりがある分野が女性に適した仕事

邱さんは『女の財布』のなかで、
「『職』とは『ワザ』のことで、
『ワザ』を身につけておけば、
『職』にありつけることができる」
と書きましたが、
「そうした中にあって、
女が男と互角に組んで
ヒケをとらないですむ職業は、
たぶん、政治家ではないかと思う」
と話を続けました。

政治家といえばほとんど男性で、
女性の政治家はほとんどいない頃の発言でした。
政治家に求められるのは
「人と人の関係を利用したり調整したりする才能」で
そういう才能なら、女性のほうがすぐれている
と考えての予言的発言でした。

このことについて邱さんは、
「第1165回　政治家は女性向きの職業の一つです」
で言及されています。

邱さんの先読みの的確さを示す一例ですが、
多くの女性にとっては次の文章の方が有用でしょう。

「もっとも政治家は、
数に制約があるから、
新しい職場としては、
多くの女性を満足させることができない。
一握りのとんでる女性たちが、
女性の代弁者として議会入りすることは
充分考えられるが、
もっと多くの女性に適した職場といえば、
育児とか看護とか料理とか、
主として生活とかかわりのある分野と、
それからもう一つは、
美術とか、ファッションとか、デザインとか、
主として美とかかわりのある分野ではないだろうか。

性別と無関係に、
女が男と肩を並べる職場が、
いくらでもできるだろうが、
女性に適した職場で勝負すれば、
女性が優位にたつことは間違いない。」
（『女の財布』）