第578回
「日僑が世界中に根をおろす時代が来ました」
『日僑の時代』のなかで邱さんは
これから海外に赴任した日本人の中から
現地で骨を埋めるつもりで住み続ける人が
増えてくるだろうと書いています。
「一人一人の日本人には、
17、8世紀の頃のキリシタンのような使命感は
ないかもしれないが、
日本的生産のノウハウを
貧しい国にも持ち込んで
それを正確に伝授するのでなければ、
日本の企業は生き残れない。
いまのところ海外に行く日本人は、
3年か5年たったら
また日本に帰ってくるつもりかも知れないが、
企業は移転した先でしっかり根を下ろさなければ、
成り立たない。
だから、企業に従って
現地に赴任した日本人の中にも、
そのうちに現地に骨を埋める覚悟の人が
だんだんふえて行くことは間違いない。
華僑と同じように日僑と呼ばれる日本人が
世界中に根をおろす時代が来たのである」。
そして邱さんは次のような言葉で、
この本での連載を締めくくっています。
「海外赴任者がこれだけふえれば、
人事の入れ替えや交流が日常化するから、
経営を見る目も地球的スケールに拡がる。
そういった意味では海外赴任者は
現地企業の発展に役立つだけでなく、
国内における経営にとっても大きな刺激になる。
その主役になるのが『日僑』だから、
志のある人は進んでその役割を買って出ても
決して損をすることはない。
私なら喜んで海外で仕事に従事する道を選ぶ。」
さて、私からこの本のことを紹介された
自動車会社のエンジニアの青年は
いまの仕事がマッチしているのか
一抹の不安をもちながらも、
中国への進出にかかわるプロジェクトに
かかわりたいという希望を持っていて、
私と別れた直後に
「『日僑の時代』を探して読んでみます」
と元気のいいメールを送ってきてくれました。
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