第577回
「チャンスがあれば海外勤務を志望しよう」
『日僑の時代−世界に富をもたらす新しい伝道者たち』は
平成6年から平成7年にかけて執筆されたものですが、
邱さんはそのなかで次のような文章を書いています。
「日本の生産事業の大半は、
好むと好まざるに拘わらず、
多国籍にわたって展開して行かなければ、
成り立たない運命におかれている。
半世紀にわたって拡張し続けてきた日本経済が
空前の大不況に見舞われて
行き詰ってしまったのを見ても
わかるとおりである。
バブルの崩壊や不況や円高やデフレが重なって
空前のピンチになっているが、
これを打開する方法は
企業を世界的スケールに展開して、
新しい需要を未開の地域で生み出すよりほかない。
ユダヤ人は国が滅んで世界中に散らばったが、
日本人は自分らの技術と能力と財産と教義をもって
全世界に伝道に行かなければ、
戦後築き上げてきた富と名声を維持して行くことは
できないところまで追い詰められたのである。
経営のノウハウを新興宗教と
同一視するわけにはいかないだろうが、
もし企業を人類を幸福にするための
ゲマインシャフト(精神社会)の一つだとしたら、
それを全世界に拡げるのは
日本人の使命であると言ってよいだろう。」
(『日僑の時代−世界に富をもたらす新しい伝道者たち』)
日本人は一般的に
動きたがらない人種といわれ
海外に赴任する人たちも
どちらかといえば
会社の命令だからしょうがないと、
受身で対応する人が多いように見受けられますが
「経営のノウハウを全世界に広げる使命を持っている」
と言われたら、気持ちもグッと
引き締まってくるのではないでしょうか。
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