第576回
「日僑は日本経済教の伝道師です」
『日僑の時代−世界に富をもたらす新しい伝道者たち』の中で
邱さんは
「日僑」の新しい役割について
次のように指摘しています。
「日本企業が現地に進出すると、
雇用が促進され、技術が定着して、
付加価値が創造される。
その恩恵はそこで働いている人々はもとよりのこと、
共同出資者や税金を納める国家財政にまで及ぶから、
どこの国でも大歓迎される。
かって帝国主義時代に
天主教の宣教師が布教に赴くうしろから、
武器を持った軍隊が上陸してきて
搾取をほしいままにしたのと違って、
富と豊かな生活をもたらしてくれるのが
工業進出であることが
次第に理解されるようになってきたので
『日本人、かえれ』といった叫びはきかれなくなった。
資本も資源も無かった日本を
世界で一、二を争う金持ちにした教義と聖典を持って、
日本人が貧しい国々に布教に行くようなものだから、
日僑は日本経済教の伝道師であるといっても
決して過言ではない。
私が『日僑の時代』というタイトルをつけたのは、
そうした使命を持った日本人が
東南アジアをはじめ、
世界中で活躍する時代が来たと痛感しているからである。
既に企業の土着化が運命付けられた以上、
異国に行って華僑に負けないだけの粘り強さを
発揮しなければならないだろう」
(『日僑の時代』の「まえがき」)
この本が出版されたばかりのある日、
横浜から東京に向かう通勤電車のなかで
30歳前の頃と見受けられる一人の青年が
この本を熱心に読む光景に接しました。
それから日本企業の海外進出は
ますます増加の傾向を見せ
いま中国の仕事に挑戦したいという青年が
私の前に姿を現しています。
私としてこの邱さんの力作を紹介しないで
通り過ぎることはできません。
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