第486回
「買った株のことは忘れているくらいがちょうどいい」
この9月、“ハイQ”の読者の人たちと
自分の人生設計について勉強をしたとき、
集まった方々のなかに
理財について勉強したい
という人がおられましたので
その3ヵ月後に、
その方面に関心を持つ人たちと一緒に、
株や不動産の投資法について勉強しました。
この勉強会に参加してくださった人のなかには
邱さんの中国ツアーに参加し、
そのあと中国の会社の株を買い、
「生まれてはじめて買った株が中国株でした」
という青年もいます。
一方、経済のことや株のことはまったく経験がなく、
この機会に勉強しようと思って
参加してくださった方もいます。
勉強会は10時半からはじまって、12時に終えますので、
その後、参加者がレストランで、一緒に食事をとり、
めいめい自分の関心のあることを話し合います。
そういう席で、「生まれてはじめて買った株が中国株」
という青年がこれから、邱さんの本を手がかりにして
中国の会社の株を買おうかと考えている女性に向かって、
話しかけているのが耳に入りました。
「株を買ったら、
そのあとは株のことは忘れなさいと
邱さんはおっしゃるけど、
買ったその日から、株がどうなっているのか気になって、
わけもなく、手が動いて、
株の動きをチェックしにいくんですよ」
青年の話をきいて思わず笑ってしまいました。
株を買ったら、すぐにその株の動きが気になるのは
人間の素直な感情の動きだからです。
でも株で儲けるという目的に照らして考えれば
「自分の素直な感情に従う」ということでは
うまく行かないというのが、邱さんのセオリーです。
邱さんがおっしゃっていることの意味を確かめておきましょう。
「麻雀を初めておぼえて、
だんだん熱が高じてくると、
朝晩麻雀のことを考えるでしょう。
あれと同じで株を始めると、
だんだん“株マニア”になっていきます。
短波放送の株式市況を聴かないと気がすまない。
私なんかもしばらくは聴いたことがあります。
私のところへ手紙をよこした田舎の人など、
田んぼで仕事をしながらも、短波を聴くのだそうです。
あっ、目標の値段がついたとなると、
家へ飛んで帰って、証券会社に電話をする。
田んぼへまでラジオを持って行けば、
たしかに株価はわかりますけれども、
ほんとうは、そこまで気にしないほうがいいんです。
かたときも見逃すまいと、目の色を変えているより、
ときどき株のことを忘れていたほうがいいんです。
毎日、波の高低ばかり見ていては、
潮の流れがどうなっているのか、
わからなくなってしまうからです。
でも気にする人のほうが、圧倒的に多いんです。(略)
だいたい株で儲ける人は、そうはしません。
この株は、いま200円だけれども、
500円になるまで、待っていよう、
という気持ちで株を買って、
しばらくは株価のことを忘れている。
そのぐらいのゆとりを持たないと、
なかなか儲かるものではありません」
(『株の原則』)
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