第403回
生き残りのために転職した人の体験談が参考になります
邱さんはしばしば「つぶしが効く」とか
「つぶしが効かない」とかいった言葉を使われます。
その関係からでしょう、
セミナーの参加者の一人から
「つぶしが効く」というのはどういう意味か
という質問を受けました。
そこで、
「『つぶしが効く』というのは環境が変わっても
以前と同じように力を発揮するということで、
『つぶしが効かない』というのは、
環境が変わったら
さっぱり使いものにならないという意味でしょう。
潮流が変わると、溺れる人がでてきますが
そんな時でも泳ぎきれるように、
日ごろから力をつけておかないといけませんね」
と答えました。
すると、前に紹介した“ライフ・プランナー”氏が、
まったく同じことを考えて、
26歳のとき転職をしたんですと、
当時の体験をセミナーのあと伝えてくださいました。
「大學卒業後に就職した外国為替のブローカーは、
外為市場が拡大基調にあったため業績も非常に良く、
毎年多くの新卒を採用していました。
新規参入が難しい業界で、業者間の競争も少なく、
安定していて、はた目には、いいことずくめの会社でした。
でも、私は、入社3ヶ月で
『この仕事ではいずれ食えなくなる』
と直感的に感じてしまいました。
ある程度の年齢より上の方々の中に、
ほとんど仕事をせずに、
高給を取っている人が多くいたからです。
今は市場が拡大しているので、
毎年若くて安い稼ぎ手がじゃんじゃん入社し、
年功序列賃金が成り立っているけど、
自分が同じ年齢になったとき、
同じレベルの給料を受け取るには、
一体何人の若手社員が会社に必要だろうかと考えたら、
そんな事はありえない!と気づいてしまいました。
つまり、いずれ沈んでしまうタイタニックに
乗っていることに気づいたのです。
そうすると、毎日、不安で何とかしなければと焦るばかりでした。
考え抜いて二つの結論を出しました。
1.今の仕事で会社内で一番になり、引き抜かれるぐらいになろう。
2.船が沈んでも、大丈夫なように泳げる練習をしておこう。
当時は金融の世界では、
日本の会社から日本の会社への転職という道はほとんど無く、
可能性があるのは外資系の金融機関に移ることでした。
そうすると、『泳げる練習=英語を使いこなせる能力を身につける』
という答えが出て、
それからは、通勤途上、会社の休み時間、仕事中と
英語の猛勉強を開始しました。
その成果が実り、チャンスを待って
3年後に外資系の銀行に転職できた時は、
TOEICで880点を取れるまでになっていました。
セミナーに参加して忘れていたことを次々に思い出しました。
毎日必死だった事も忘れかけていました。」
いま辞書で「つぶしが効く」という意味を調べると
「一定の地位にある人が、その地位を離れた時の値打ち」
と出ています。
邱さんは、変化のなかを生き抜いていくには、
自分自身が変わっていくことが必要だ、といわれますが
ライフ・プランナー氏の体験談は
そういう教訓をわかりやすい形で教えてくださる教材です。
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