| 第195回私は想像力不足を邱さんに補ってもらいました
 いま世の中が大きく変わってきて、いまのままではメシが食っていけない
 と思っている会社が多いので、
 そういうところでは
 明日のメシを食っていける
 新規の事業づくりに取り組んでいます。
 私が従事していた鉄鋼メーカーでは昭和50年代の後半期に生産停滞に襲われ、
 私などは事業多角化の尖兵として
 さびしくなった街に転勤になり、
 余った土地を使って何か付加価値を生み出す事業を
 考えろということになりました。
 もともと将来に夢を描く力のある人にとっては好機到来ですが、
 現状の延長線上で考えがちな私などにとってはピンチ到来です。
 仕事に取り組む前から“敗戦”を予想していましたが
 そんな私にとって、よかったのは
 邱さんの本を読んでいたことでした。
 邱さんが日本の将来をどう読んでいるかと思い、手元にあった『邱永漢の株入門』をペラペラめくると、
 「日本の潮流は老齢化、成熟化、国際化の三つだ」
 と書かれていました。
 これは邱さんがつかみとった先読みで、
 最近も邱さんは書いていますね。
 「私はいまの日本は3つの方向に向って
 ドンドン変化していると見ています。
 1つは老齢化、2つ目は成熟化、
 そして、3つ目は国際化です。
 こうした変化は
 日本だけに起っている変化ではありませんが、
 アジアの国々では日本が先頭を切っています。」
 (「第11回・年寄りがふえて厄介なことになった」)
 私はこの老齢化に着目して老人ホームを考えました。自分の想像力不足を邱さんに補ってもらったのです。
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