蓬莱仙人・大海淳さんの
身体にいい話

第110回 (旧暦4月28日)
発芽したコメはミネラルをそっくり吸収できる

今日はコメの話です。
コメに含まれているミネラルの多くは、
フィチンという有機化合物と結合しているために、
その大半がわれわれの体内で消化吸収されずに排出されてしまい、
精白米よりミネラル含量の多い玄米を食べていても、
しばしばミネラルの代謝障害を起すことがある、
ということは先回(第108回)に述べた通りです。
それでは、コメに含まれているミネラルを
そっくり消化吸収するためにはどうすればよいか、
今日はそのことを書いておくことにしましょう。

結論から先に言えば、
そのためには玄米を発芽させて食べればいいのです。
コメはイネという植物の種子ですが、
この植物の種子というものは、動物の卵とおなじで、
次の新しい世代の生命を誕生させるための
栄養貯蔵庫にほかなりません。
つまり、コメに含まれているでんぷんもたんぱく質も脂質も、
すべての栄養成分は、
われわれ人間や動物たちに食べられるために
含まれているわけではなく、
本来は、イネが自らの種の保存のための
新しい世代を生み出すための栄養として
蓄えられているということです。

もちろん、ミネラルについてもおなじことで、
コメが芽を出して根を張り、独立した栄養生活を始めるまでに
必要な分量があらかじめ蓄えられているわけですが、
このとき、フィチンという物質がミネラルと結合して、
その貯蔵期間中にミネラルが損失しないように
ガードする役割りを果たしています。
ところが、発芽の条件が整って芽を出す準備が始まると、
「貯蔵のためのガード」というフィチンの役割りは終了し、
これまでの結合状態が解消して
ミネラルとフィチンとが分離することになるのです。
したがって、玄米を発芽させて食べるということは、
ミネラルとフィチンとが分離した状態で
食べるということになりますから、
フィチンだけはやはり消化吸収されずに排出されるものの、
フィチンと単離したミネラルは
そのまま消化吸収できることになるわけです。

実は、コメを発芽させることによって
どのような栄養的変化が起こるか、という研究は、
これまでほとんど行われてきませんでしたが、
この数年来、仙人が取り組んできた結果によれば、
このフィチンの問題以外にも、
われわれの健康にとって有用な
いろいろな生理的変化が起こってくることが判ってきました。
そこで、次回からは、
それについて紹介していくことにしようではありませんか。

発芽した玄米。発芽が始まると
フィチンと結合していたミネラルはフィチンと分離する

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