第111回 (旧暦4月29日)
「枇杷葉湯」は日本版コカコーラ?
今朝、2階の窓からなにげなく外を見ると、
庭のビワの実がだいぶふくらんでいるのに気が付きました
そういえば、数日前、ビワの薬効について教えてほしいという
メールを受け取っていましたから、
今日はビワについて書くことにしましょう。
ビワは、中国原産のバラ科の常緑高木で、
日本には1000年以上前に移入され、
今では東海地方以西の暖地では野生化も見られます。
果実を食用にするために、古くから栽培が行われ、
現在果実用に栽培されているものはすべてが改良品種ですが、
薬用するには、実が小さくて丸い原種に近いものがベターです。
薬効成分を含むのは種子と葉で、
種子には青酸配糖体のアミグダリンが、
葉には、アミグダリンのほか、葉酸、タンニン、
糖類などが含まれています。
果実は、ホワイトリカーに漬けて
(酒1.8Lに対して0.9〜1L、氷砂糖100g、
果実は10日後に取り出し、果肉を取り除いて種子のみ漬け戻す)
疲労回復、食欲増進、咳止めなどに用いますが、
このビワ酒は、薬効もさることながら、
嗜好用のリキュールとしても一級品の味なので、
ビワの実が手に入る人はぜひ作ってみることをススメます。
また、葉のほうは、裏面に生えている細毛を
よく洗い落としてから細断し、
天日で乾燥したものを保存しておき、
健胃整腸、利尿、のどの痛みや咳止めなどに煎服したり
(お茶代わりに飲んでもよい)、
あせもやし子音、打ち身、捻挫などに浴湯料として用います。
江戸時代には、このビワの葉に
肉桂、木香、甘草などの6種類の薬草を混ぜ合わせた
「枇杷葉湯(びわばとう)」という清涼飲料が人気を集め、
江戸や大阪市中ではそれを売り歩く姿が見られたそうですから、
その「枇杷葉湯」というのは
日本版のコカコーラとでも言えそうですナ。
なお、葉を利用する時も、
果樹として栽培されているものは
農薬を被っている心配がありますから、
庭などに植えられているものを使うようにすることです。
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熟し始めたビワの実 |
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