第1145回
土屋繁裕先生、さようなら
49歳の急逝とは、
あまりにも悲しすぎます。
すでに、多くのみなさんがご存知のように、
われらが敬愛する勇気ある医師=
土屋繁裕さんの突然の訃報は、
10月10日の朝日、日経をはじめ、
全国紙の死亡欄に掲載されました。
各紙が「患者を無視する医師」に警告する
“ドクターハラスメント”という言葉の生みの親として、
その功績をたたえておりました。
誰もが待ち望んでいる、
「患者にやさしい医療改革」の夢半ばにして
夭折されたわけですから、
一人の偉大な旗手を失ったとして、
そのパワーを惜しむ声も強かったと思います。
故郷・福島の郡山では、
全国の医療関係者や患者団体から寄せられた
百数十基にのぼる、生花、花環に囲まれて、
盛大な通夜(11日)、
告別式(12日)が行われたのですが、
奇しくも、12日が、
東京での「スローヘルス研究会」の
例会の日でありましたので、
こちらは急遽、「土屋先生を偲ぶ会」に
変更することを決めて、
僕たち「スローヘルス」研究会の仲間のうち
5人が、とるものもとりあえず、
郡山の通夜の席に参列させていただきました。
「土屋繁裕先生、さようなら」・・・
土屋医師の大きな遺影は、
「やあ、関根さん、よく、来てくれましたね」と
いつもの少年のような笑顔で
迎えてくれているというのに、
胸が詰まって言葉が、
もう言葉になりません。
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10月11日、故郷・郡山でとり行われた盛大な通夜
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翌日の告別式には参列できないので、
気丈にご遺体に寄り添っておられた
奥様の広見さんとお兄様たちに、
僕の気持ちを書いた「メッセージ」を
当日、代読してもらうようにお願いし、
また、土屋医師と僕が、
2年がかりで書き上げた共著・
「医者と患者でつくった、ガン治療入門」の本と一緒に、
棺(ひつぎ)に納めていただき、
天国に持っていってもらうように
頼んでまいりました。
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棺に納めていただいた土屋医師との共著「ガン治療入門」
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その共著に、土屋先生は、いつも、
「慈心妙手」と書き、
僕は「生命在脚下」と、
それぞれの「ガン治療への思い」を込めてサインしては、
読者のみなさんに送ったものでした。
僕たちは、まるで「こころの兄弟」のようにして、
互いに、夢の実現を誓い合ったものです。
あの晴れ晴れしい日は、もう戻ってきません。
本の裏表紙に、震える手で、
最後のメッセージを書きました。
それは、とても、つらくて、悲しい一夜でした。
「土屋先生、さようなら
でも、僕たちはいつも一緒です」
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スローヘルス研究会で講演する、ありし日の土屋医師
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