第931回
続・やはりテレビは「バカの鏡」?
「テレビは『バカの鏡』ではないでしょうか」
という邱永漢さんの軽妙にして
痛烈なるHiQエッセイを拝借して、
「ライブドア事件」報道をめぐる
テレビ・メディアの「事業の原則」について、
敷衍して書いてきましたが、
堀江貴文という31歳の青年社長が、
これからの「お金儲けの原則」に
大きな問題を投げかけたことは皮肉ですね。
さかんに、テレビのキャスターや
にわか「乗っ取り事件評論家」たちからは、
「企業買収は分かるが、
お金で何でも出来るというのはおかしいのではないか?」
「リーマンブラザースといった外資を利するのはけしからん」
といったテレビサイドの見解をなぞるような質問が
声高に連発されました。
おまけに、
「堀江貴文さんには、
買収によって起こすビジョンが見えない」と
指弾していましたが、
テレビ界で飯を食っている大半の人は、
やはり、この程度の「バカの鏡」式といいますか、
「ツギはぎ、思いつき発言」しか出来ないのでしょうかね?
このコラムでも前に、堀江さんのベストセラー著書
「世界一の金持ちになってみろ」(太陽企画出版)などを
紹介したことがありますが、ちょっと読めば、
「インターネット即=金融システムそのものである」――
「インターネットこそ、これからのお金の原則、事業の原則」――
という
堀江ビジョンはふんだんに語られています。
こうした本だけでなく、
それこそ、インターネットのホームページを開ければ、
「ニッポン放送株式取得に関する所信表明」
も読めますから
ワイド番組のような「バカの鏡」式発言をするほうが、
おかしい時代だと思いませんか?
きっとテレビキャスターやタレントたちの大半が忙しくて、
本はもちろん、インターネットも
ゆっくり楽しんでいなかったのかもしれません。
いま爆発的人気のブログ(日記式ホームページ)でも開ければ、
テレビのような芸能レベル評論家による
「ツギハギ発言」ではない、
日本全国の普通の人たちの
自由闊達な意見や見解があふれ出てきます。
インターネットや携帯で買い物をしたり、
株を売買してたり、いまや税金の申告手続きも可能です。
いまや、こうしたツーウエー事業に関連する小さな企業が、
あっという間に「巨象」になる可能性を秘めた時代なのです。
すでに、新しい「お金の原則」を日常としている
HiQの読者なら、
今回の「ライブドア事件」が、
まさにこれからの「お金の原則」を占う、
トリガー(引き金)となることは察知しているはずです。
ここが、ニッポン放送、
ひいてはフジテレビに手を出した
ライブドア事件のキモ=本質だと思います。
スポーツ・芸能レベルの「勝ち負け」の話だけが
本筋ではありません。
もう一度、邱永漢さんのHiQコラムの一部を
採録しておきましょう。
「蛇が象を呑み込むニュースは暫く続きます」
というエッセイは、
いまにしても、なかなか的確な指摘でしたね。
「中国のコンピュータ大手の聯想が
IBMのパソコン部門を莫大な金額で買収したり、
中国の鉄鋼会社が
オーストラリアの鉱区をまるごと手に入れたり、
いずれも「蛇が象を呑み込む」ような話ばかりです」
いまや“当たり前になった情報”にも謙虚に耳を傾けない、
そうしたメディアや企業に
安穏とした明日はあるのでしょうか?
“ほりえもん”青年ならずとも、
普通のインターネット・ユーザー、
携帯電話ユーザーなら、
「インターネット即=これからのお金の原則」――、
これは常識でしょう。
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