第450回
コミュニケ読解締め括り「四つの認識」「三つの強調」
長い期間にわたって、
第11次5カ年規画(2006年−2010年)の骨子となる
中国共産党の
第16期中央委員会第5回全体会議
(16期5中全会)のコミュニケを解説してきましたが、
その締めくくりとして、
このコミュニケの中で
六つの「しなければならない」事項と
七つの行動計画を、
さらに補足する形で存在している
「四つの認識」と「三つの強調」を紹介しておきます。
コミュニケ原文で冒頭が
「会議認為」と始まる箇所が四つあります。
「認為」は動詞で、
〜と考える、あるいは〜と思う、と訳されます。
これを便宜上「四つの認識」とまとめました。
その一つ一つは一つの段落を構成する長文ですが、
その要旨は以下の通りです。
1.社会主義の新農村を建設することが
歴史的な重大な任務であること。
現代農業建設を推進し、農村改革を深化、
百方手を尽くして農民の収入増加を進めていく。
派生して、西部大開発や東北振興などの
国家プロジェクトを進展させていく。
2.改革の重要性の再認識。
経済、税制、金融の各改革を進め、
経済成長方式の転換を図り、
「持続可能な発展」を加速することのできる
メカニズムを形成する。
3.技術力の向上と教育の重要性、人材育成。
4.民主法治、公正正義、誠意友愛、
活力充満、安定した秩序、人と自然の調和といった
総合的な調和の取れた社会を
建設しなければならない前提の下で、
積極的に社会矛盾の解決を図っていくこと。
いずれも重要ですが、
「1」「4」に注目したいことは
前回までにお話したとおりです。
また、「認為」と同じく、冒頭が
「会議強調」と始まる箇所が三つあります。
「強調」は動詞で、意味は日本語と変わりありません。
「会議は〜ということを強調した」
「会議が強調したのは〜」などと訳されます。
要旨は以下の通りです。
1.第11次5カ年規画で立てた目標を
実現するために大事なことは
党の指導の強化及び改善であるということ。
2.法治という基本戦略を徹底、
社会主義民主政治の建設を強化し、
政治体制改革を推進しなければならないこと。
3.国際環境の中で、
経済成長の推進と人民生活の改善が一貫して
中国の中心任務であること。
この部分は、
中国共産党の執政党としての今後のあり方を
確認した部分といえます。
注目したいのは「3」、原文通り訳しましたが、
「誰の中心任務」かという部分、
文脈からすれば中国共産党とすべきであるのに
(党の会議のコミュニケでもあるし)、
あえてかどうか、
「中国」という言葉だけを使っている点でしょう。
いろいろ解釈できると思いますし、
私個人も自身の見解はありますが、
ここは、皆様の想像にお任せしたいと思います。
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