第410回
上場をうまく使いこなす中国企業、種まきの重要性
中国は「リスクがあるから投資はしない」
という日系の銀行については、
一部銀行の一部行員の方からは
憂慮の声も聞こえますが、
基本的には残念ながら例外はないようです。
どこの銀行も一様に、しり込みしています。
護送船団方式は、
こんなところにも健在なようです。
バブル崩壊の恐怖の後遺症かもしれませんが、
この後遺症を克服できない限り、
今後の世界経済を左右する中国、
その金融業への参入の後れは、
日系の金融機関にとって、
致命傷にもなりかねません。
ケースは若干違えど、
こうした枠組は、金融機関に限らず、
日系の資本には
総じて言えることだと考えられます。
確かに、リスクがあるから投資を控える、
というのは一つの手法だとは思います。
将来的なことは誰にも分からないから
無理する必要はない、
というのも立派な判断です。
以前にも触れたように、
中国の不良債権問題は予断をゆるさない状況で、
もしかすると今後にこそ、
大きな問題となって噴出する可能性すらあります。
ただし、ここで種まきしておくのと
しておかないのとの差が表れるのも
やはり将来のことだ、
ということは覚えておいた方がよいでしょう。
中国では、
上場という手法を実にうまく使います。
上場のために、
それ以前までに企業の体質を
できるだけ改善しようとします。
それが効果を表すことがあれば、
付け焼刃のために、
上場後すぐにぼろを出すことも、
例の保険最大手銘柄の例でもありますが、
それでも、上場してしまった後だからこそ、
迅速に改善、業務への影響を
最小限に抑えるどころか、それをてこに、
コーポレートガバナンスの見直しを
進めるという具合です。
日本では、
しっかりした企業だから上場できる、
上場しているからしっかりした企業、
というのが普通の感覚ですが、
中国では、日本のそうした感覚と
若干違うことは、留意すべきではないでしょうか。
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