| 第409回不良債権とリスクの見極め、日系の出だしの遅れ
 日系資本の金融機関による中国市場の進出の遅れに対しては、
 時期が来れば、
 必ず中国における欧米との差が顕在化して、
 取り返しがつかないことになるとの懸念が
 広がっていましたが、
 今回の大きなうねりの中でも
 取り残された感のある日系が、
 今後中国の金融分野で
 苦戦を強いられる可能性は小さくありません。
 日系の銀行の資本力や影響力を駆使すれば、欧米の金融機関に遅れを取ることは
 まずないはずですが、
 日系の銀行に直接この点を聞いてみると、
 「中国はまだリスクが大きすぎる」
 の一点張りのことが多いようです。
 中国の銀行が抱えるリスクの代表的なものに
 不良債権があります。
 確かに、中国の不良債権の状況は
 余談を許しません。
 05年に入ってから、特に3−6月の間、
 中国の不良債権が急減しており、
 それは政策的な措置が
 効力を発揮したことによりますが、
 不良債権そのものが減ることは
 喜ばしいこといえども、
 異常な急減は、
 今後に課題を先送りするようなことにもなりかねず、
 それが将来的なリスクになる可能性もあることは
 以前紹介したとおりです。
 今回の世論調査でも、「現在、中国国内の銀行には
 どのような問題があると思うか」
 を聞いたところ(複数回答)、
 不良債権との回答に
 全体の7割を超えるほど集中しています。
 ただ、そうした不良債権を含めて、現時点でリスクが大きいのは
 欧米の銀行など金融機関も十分承知の上、
 しかも中国現地の企業経営者さえも
 認めていることです。
 問題は、そのリスクを
 最小限に抑える努力をしつつも、
 今そのリスクがあることをあえて知りつつも、
 将来的な可能性やその見通しを踏まえた上で、
 今から参入できるかどうかの判断であって、
 「リスクがあるから投資はしない」では、
 本来、本末転倒ともいえます。
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