| 第380回04年とパターン繰り返す:不良債権処理加速の時期
 実は、中国にとって、4−6月というのは「不良債権処理加速の時期」ともいえるようです。
 2005年ばかりでなく、04年を見てみると、
 04年6月末時点の主要商業銀行
 (国有四大銀行を含む国有商業銀行と株式制銀行)の
 不良債権残高は1兆6631億元でしたが、
 同年3月末時点は実に2兆元を超えていました。
 この時も、わずか3カ月で4000億元程度、
 率にして20%程度が
 一気に減少していることになります。
 中国銀行業監督管理委員会(CBRC、銀監会)が正式に中国の不良債権の統計を発表し始めたのは、
 04年以降です。
 それも、04年から発表されたのは、
 主要商業銀行による不良債権で、
 05年になってから、
 中国の商業銀行すべての不良債権と
 その内訳が発表されるようになりました。
 そのため、それ以前は不明ですが、
 04年と05年のそれぞれ4−6月に
 不良債権が政策的措置で急減しているのは、
 もしかすると3月の
 「両会(全国人民代表大会と
 中国人民政治協商会議及びその同時開催)」が
 きっかけになっているかもしれません。
 この「両会」は、年間を通じても中国で最大の政治的イベントで、
 その中で、不良債権の問題が取り沙汰され、
 政策的な大鉈が下されるという
 めぐり合わせも考えられます。
 それが事実であれば、
 それだけ、中国政府にとって、
 不良債権処理は重要課題であることも
 物語っているといえるでしょう。
 04年における不良債権の急減は、中国建設銀行と中国銀行による、
 数千億元レベルの不良債権処理によるもののようです。
 当然のことながら、政策的な処理です。
 05年の工商銀行と事情が似通っています。
 建設銀行と中国銀行は、この04年4−6月における不良債権処理を契機に
 同年8−9月にかけて株式会社化を実現しています。
 工商銀行は、政府のバックアップを得て、
 05年4−6月に不良債権処理を加速していますので、
 以前紹介した、中国人民銀行の関係者による、
 「工商銀行は、05年9月末目処の株式会社化」
 という言葉も真実味が出てきます。
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