| 第379回長年の宿願:工商銀行は銀行改革の山場に
 中国銀行業監督管理委員会(CBRC、銀監会)が発表した
 2005年6月末時点における
 中国の商業銀行全体の不良債権比率は、
 同年3月末の12.40%から
 4.14ポイント低い8.71%となり、
 不良債権残高も同じく
 1兆8275億元(約25兆円)から
 1兆2759億元(約18兆円)に急減しました。
 この大きな理由としては、中国最大手の商業銀行で、
 国有四大銀行の筆頭である中国工商銀行が
 株式会社化を進める中で、
 政策的なサポートも手伝って、
 数千億元レベルの大量の不良債権を
 処理したことが大きいとされています。
 今年中には、工商銀行を株式会社化し、
 株式上場を実現させる、
 少なくともその目処を立てたいという、
 金融当局の思惑が見え隠れしています。
 大事なことは、
 銀行の財務体質や収益力の改善などの
 「正当な理由で」不良債権が急減したのではない、
 ということです。
 四大銀行の中では、中国建設銀行と中国銀行が、
 株式会社化をすでに実現しており、
 上場に向けた準備が進んでいるともされています。
 その他の工商銀行と、
 中国農業銀行が株式会社化を目指しており、
 05年前半、工商銀行の周りで
 いろいろ活発な動きが見られます。
 最大手の工商銀行が片付けば、
 中国の銀行改革は一応の目処が立つことになり、
 長年の宿願を果たすことになります。
 中国の四大銀行は、中国の金融資産を
 70%以上も抱えているとされています。
 郵貯という圧倒的な財産のある日本、
 その中のメガバンクとは違い、
 本当の意味での、金融を牛耳る存在が、
 四大銀行です。
 この銀行各行に対して、
 時には公的資金の導入も大胆に行いつつ、
 財務体質を改善し、上場などを通じて、
 業界全体を改革することで、
 金融分野を打ち固め、
 今まで蓄積してきた膿をすべて吐き出し、
 きれいにして、
 一気に国際的にも通用する金融体系を
 構築したいというのが中国政府の狙いです。
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