| 第243回04年は「惰性」の成長、05年に引き締め効果も
 2004年の中国の経済成長率は実質9.5%。金融及び景気の引き締めを中心とした
 マクロ調整策によって、
 縮められた数字ではありますが、
 それでも、依然として高水準といえるでしょう。
 03年の経済成長は実質9.3%で、
 これでは「高すぎる」として、
 04年はマクロ調整が行われたにもかかわらず、
 04年の経済成長は
 03年を0.2ポイントも上回っています。
 以上のことから、中国政府が今回の指標を踏まえて、
 「まだ引き締めが足りない」、あるいは、
 「引き締めの効果が顕在化していない」と
 判断しているのは間違いありません。
 以前も紹介したように、04年初頭、中国では04年通年の成長率を
 7%程度にするという目標数値を
 発表していたことがあります。
 03年の9.3%(当時は修正前9.1%)と比べて、
 かなり低い数字です。
 私も実際、国家統計局の副局長に
 この件を聞いたことがありますが、
 その時の副局長のコメントは、
 「7%以上にするということで、
 7%にまで無理に引き下げるものではない」
 ということでした。
 04年に実施準備されていたマクロ調整策を徹底することで、
 7%程度にまで成長率が落ち込むことも辞さない、
 という構えが、
 マクロ調整策の本格実施以前にはあったようです。
 その後、7%という数値目標が全面に押し出されることはほとんどなくなりました。
 それは、
 1.あまりにも低すぎる数値で、
 急激な抑え込みが経済活動全般に
 悪影響を与えることが考えられたこと、
 2.03年の9%以上の成長を受けて、
 常識的に、そのような急ブレーキはかけることはできず、
 むしろ「惰性的な経済成長」が覚悟されたこと、
 などが要因なようです。
 04年は中国経済にとって、あらゆる意味で調整の年になりました。
 それでも経済成長が9.5%という高水準に達したのは、
 新型肺炎SARSで一旦は冷え込みましたが
 (SARS最盛期の03年4−6月の経済成長は6.7%でした)、
 その反動もあって、
 03年後半に過剰に成長した経済の「惰性」という意味が大きく、
 その分、05年こそが、
 良くも悪くも04年のマクロ調整の効果が
 現れてくる可能性が大きくなります。
 |