第242回
マクロ調整あっても2004年の経済成長は実質9.5%
2005年1月25日、
中国の2004年通年における
経済指標が発表されました。
日本のメディアなどでも大々的に報じられていますし、
ご存知の方も多いでしょう。
ただ、そうしたものは、
総じて数字の羅列であったりするもので、
実態をどこまで解説して
指し示せているかは疑問です。
また、さらに重要なのは、
今後どうなるのか、という点でもあります。
発表された経済指標の中でも、
最も注目が集まったのはGDP(国内総生産)です。
04年の成長率は実質9.5%ということです。
ただ、これが中国全体の実態を示しているかといえば、
首を傾げざるをえません。
上海や北京ではこれ以上の数字が出ますし、
もちろん、これ以下の数字の地域も珍しくありません。
地域ごとでかなり変化が激しいものです。
また、産業面ではどうなのか?
業界別では? 個人の消費活動は?
世界的に見て、9.5%というのはどういう数字なのか?
考える角度を少し変えると、
この9.5%という数字自体を
そのまま「中国」を代表する数字としてとらえるのは
危険でもあります。
あくまでも一つの目安として考えるのが無難なようです。
ただ、0%を前後する日本から考えれば、
9.5%の中国はやはり「高度成長期」にある、
というのは事実でしょう。
一つの目安としての9.5%という数字を
少し考えてみましょう。
まずはじめに、この数字は、
金融及び景気の引き締めを中心とした
マクロ調整策を実行した上でのものだということです。
もし、マクロ調整策が実行されずに、
ある意味で野放図にされていたのであれば、
確実に二桁成長になっていたでしょう。
11%を超えていてもおかしくはありません。
そうなると、いくらなんでも「高すぎる」
ということになっていたでしょう。
すでに、だいぶ周知されていることと思いますが、
現在の中国において、
経済成長は高ければ高いほどよいという時代は
過ぎ去っています。
「量的な成長よりも、成長の質的向上」が
現在の中国の課題になっています。
|