第217回
基盤がしっかりしていないレノボ、だからこその買収
聯想(レノボ、0992)は昨今の業績から見て、
明らかに伸び悩んでいます。
鳴り物入りで進めた携帯電話事業も、
失敗はしていませんし、
ようやく採算の取れる事業として
成長し始めてはきましたが、
中国本土では、
携帯電話メーカーの利益率の低減が騒がれる中で、
若干潮流に乗り遅れた感があります。
以前にお話した
農村向けモデルの3000元(約3万9000円)PCも
ある意味では、
苦肉の策といえないことはありません。
一貫して守り抜いてきた日本を除く
アジア地域のシェアトップの座から、
2004年になって一時転落するという事態がありました。
その後、すぐにまたトップの座に返り咲きましたが、
それによって生じた危機感は
かなり大きかったといえます。
「都市部は開拓できた、次は、農村部だ」というのは、
今すぐ実るものではなくても、
間違った戦略ではありませんが、
価格を下げるのは
よほど慎重にやらなければなりません。
ほとんどの業種や製品でそうなのですが、
中国の市場が、市場として育たないのは、
各社が安易に値下げするからという側面が
間違いなくあります。
自動車にしても、携帯にしても、そうです。
PCでも同じことが起こらないとは限りません。
事実、聯想によるIBMのPC事業売却前後から、
HPやその他の中国国内メーカーが、
相次いで、製品価格を引き下げる、
あるいは低価格モデルをリリースしています。
HPですら、4000元PCの発売を開始しています。
価格破壊による市場混乱の兆しは見え始めています。
中国のPC業界において、
聯想は不動の地位を築いています。
遅れをとっていたノートPCでも、
徐々に技術力を高めながら、
また、デスクトップPCで培った
圧倒的なブランド力を生かしつつ、
現在では外資と拮抗できるところまできています。
ただし、聯想は、まだまだ基盤がしっかりしていない、
というのは隠すことのできない、
偽ることのできない現実です。
海爾(ハイアール)と比べると
よりわかりやすいと思います。
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