第215回
レノボ:IBMのPC事業買収、今後の見通しは?
聯想(レノボ、0992)が
IBMのPC事業を買収しました。
中国企業が世界大手の一企業を
買収するまでに成長したことを示すもので、
中国国内でも一般的には評価の高い買収劇です。
一般の日本の方でも驚かれた方が多いようです。
ただ、中国における聯想の浸透度と実力など、
日本を除くアジアシェアトップ
というブランド力を考えれば、
また、そうした動きがなかったわけではないにせよ、
いまさら日本や欧米の企業が
PC部門に対して巨額を投じて購入するということが
ありえないことから考えれば、
むしろ当たり前の出来事だといえます。
むしろ、世界大手が
PCでは将来性が望めないという見切りのほうが、
この件では重要なことです。
IBMにとっては、同じ米国のデルなどの存在も、
売却に踏み切るきっかけになったのだと思うのですが、
先進国の大手企業にとって、
もはやPCは「うまみのある」商売ではなくなってきている、
ということでしょう。
一方で、現在急成長しているとはいえ、
中国はまだまだ人件費などで
差別化できる製造大国です。
この強みを生かせば、やりようによっては、
PCも「いい商売」になります。
ただし、中国でもPCの低価格化が進んでいます。
当の聯想が3000元(約3万9000円)を切るPCの発売に
踏み切っています。
一昔前まで、日本でも20−25万円ほどが
PCの基本的な価格だったこともあります。
ご存知のように、日本で20−25万円というのは、
大体、20代の普通のサラリーマンの月給とほぼ同じ水準です。
しかし、現在の日本では、
一流メーカー品に限らなければ、
5万円台でもPCが購入することが可能となっています。
一方の聯想がリリースした3000元PC。
これは、主に農村部を対象にしたモデルといわれているので
難しいところですが、
中国の都市部において、
月給3000元というのは
普通の月収水準といえるでしょう。
ちなみに、中国全土の農村部全体の絶対平均
(老若男女すべてを平均化したとして)の
1人当たり年間純収入は3000元以下です。
農村においては、3000元といえども、
まだまだ高額商品であるのは間違いないでしょう。
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