第216回
買収成功も資金難?投資評価下げるレノボ
聯想(レノボ、0992)が
IBMのPC事業を買収したことで、
聯想の投資判断は、軒並み下がっています。
買収額が大きかった、いや、正当だ、
などなど議論が百出する中で、
投資判断の引き下げだけは共通しています。
スミス・バーニー証券は、
投資判断を「売り」に据え置き、
目標株価を2.61香港ドルから引き下げて
2.02香港ドルにしています。
(株価データは12/10時点です)
マッコーリー証券は、
IBMにとってはプラス効果が大きいが、
聯想にとってはさまざまなマイナス要素を持つとして、
投資判断を「アンダーパフォーム」としました。
UBS証券は「REDUCE」との投資判断。
これは今回の買収にかかわらず、
ハイテク産業の成長期が一段落して安定期に入り、
また、同業他社間の市場競争が激化していくことが
今後のネックとなってくると
予測したことによるもののようです。
また、IBM台湾では、
聯想への吸収を嫌気して、
現地従業員が買収完了前に、
IBMのその他の部門への異動を希望するケースが
増えているともいわれています。
台湾では、ちょっと事情が違うのかもしれませんが、
総じて、世界的にみて、
中国企業による世界大手の大規模な買収劇に、
いろいろな意味で「まだ抵抗がある」という風潮が
残っているのかもしれません。
実際に、中国では、
「聯想にはそんな多額な買収資金はないのではないか」
とも一部ささやかれています。
債務も入れた累計の買収額は17.5億ドルですが、
この総額は、実は、
上場会社としての聯想の総資産を
はるかに上回る額です。
買収にあたっては、
現金では実質6億ドルで、
3年完済という契約とはいえ、
聯想は「お金が足りない」というのが実情かもしれません。
また、聯想は「米国での株式上場を検討すべき」
と提案する現地アナリストもいるほどです。
聯想は、今回、若干背伸びした感は否めません。
ただし、ビジネスにおいて、
急成長しようと思えば、
若干の背伸びはどうしても必要ですし、
今回の買収は、聯想の世界進出の一環であって、
その意味で、中期的には
意義のある戦略ともいえそうです。
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