自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第849回
ワインの諸々 85
ここまでヘタッたワインを出すのか、ないとう

いやー、ひどいワインでした。
いや、正確にはひどいワインを出す店といった方がいいでしょう。
京都へ泊まったとき、昼時に訪れたヨイショライター絶賛の
「プチレストラン ないとう」での事でした。
使用している油に拘りがある
凄いトンカツだという人がいるようですが、
私に言わせれば肝心の「豚肉の質」にも拘っていただきたかった。
2回訪れましたが、
スペシャルトンカツ(2000円)はまったく肉の旨みを感じないもの。
東京で2千円出せば
そこそこ満足するトンカツの店はありますから、
まったくの過大評価。
村澤牛で売っている「びすとろ ぷらむ」にしても、
たいしたステーキではなかったですから、
京都ではあまり肉質を問われないのかもしれません。
これなら、1200円定食のメンチやコロッケの方が
はるかに良いと感じました。

トンカツのイマイチさはわかっていたので、
今回はワインであります。
特別にお勧めなのか、
ボジョレーヌーヴォーがグラスで用意されていました。
スペシャルキュヴェとありまして、
確かグラスで一杯600円だったか800円だったか。
どちらにしてもヌーヴォーとしては高い。
ヌーヴォーなんて
高くても仕入でボトル2千円といったところですから、
今年はブショネにあたった友里として、
もう一度試してみたくなったのです。
しかもこのカウンター洋食でこの高価格ですから、
かなりおいしいものかとも想像しました。

しかし、目の前の小さな樽から注ぐのではなく、
女性スタッフは冷蔵庫から取り出したボトルから注いできました。
一口飲んでびっくり。
ブショネではないですが、
ヌーヴォーの唯一の特徴である「ジューシーさ」がまったくない。
あまりにヘタリ過ぎです。
良く見ると、ヌーヴォーを入れたボトルは、
スクリューキャップ式でありました。
こんなヌーヴォーは見た事がないので、移し変えたと想像しますが、
しかしあまりに時間の経ちすぎのワイン。
それでこの請求額ですから、
客を舐めているとしかいいようがないでしょう。
口直しに他の赤ワインを頼んだのですが、
これまた瓶底にわずかに残っていたワインでして、不味かったです。

こんなワインを平気で出すような経営の店が、
拘ったトンカツを出すはずがありません。
レストラン性善説者の犬養さんはたまたま古いワインだっただけ、
と弁解するかもしれませんが、
日頃のチェックというか、まともな経営方針を持っていたら、
いくらでも回避できます。
抜栓してからある程度古くなったワインを
処分している店はいくらでもあるからです。
友里にとって、「ないとう」の3回目はあり得ません。


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2005年12月18日(日)

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