第841回
ワイズテーブルの戦略とは
「ゼクス」や「サルヴァトーレ クオモ」などを多店舗展開する
ワイズテーブルの勢いが止まらないようです。
ゼクスなど一昔前のコンセプトの店だと思うのですが、
最近は最後の和食の鉄人・森本氏を看板に
「モリモト ゼクス」という
似非鮨と鉄板焼の派手な店を出してきました。
多店舗展開している会社では
他に巨牛荘やカプリチョーザを経営しているWDIがありますが
両社はまったく方針が違います。
WDIは、これら廉価な店だけではなく
高級路線を敷くために海外、
特にアメリカの有名店との提携に奔りました。
「グランド セントラル オイスター バー」。
鳴り物入りで品川駅にオープンし、
当初は予約がまったく入らなかったようですが、
所詮ロウオイスター専門店、
他の料理がまったくアメリカ的で美味しくないのがわかったからか、
今では簡単に入店できるようになりました。
NYのザガットで長年第一位にランクされていたという
アメリカン・イタリアンの「イルムリーノ」。
やはり六本木ヒルズに鳴り物入りでオープンしましたが、
当初から1万円ディスカウント券をばら撒いていたのは
自信のなさの表れか。
この大味なイタリアン?を食べると、
こんな料理を高評価するとは、
やはりアメリカ人は
水の味さえわからない人種とフランスで言われていることが
証明されたと再認識しました。
最近2周年記念イヴェントに、
ガヤとリーデルとのコラボで特別ディナーを開催したようですが、
値付けが7万円とまったく現状を理解していない設定で
客が集まらず苦労していたようです。
身の程知らずとはこのことでしょうか。
2000年以降のガヤのワインなどいくら出しても
ワイン通はまったく食指を動かされないことが
わからないのですから、
WDIには優秀なブレーンが皆無と考えます。
オカザワ氏風なオヤジギャクを飛ばすなら、
繁盛させるのは「無理―の!」。
社内の人間ではなく友里に任せるほうがはるかにマシと断言します。
さて、ワイズテーブル。
アメリカの変な有名店と提携するのではなく、
料理人を全面に出した営業展開をしているところが
まったく異なる方針であります。
「サルヴェトーレ」は、
一時期店を閉鎖してしまったクオモ兄弟を取り込んで
ブランド化してしまいました。
元々料理やサービスに
それほどの腕があったとは思えない兄弟ですが、
うまく利用してブランドイメージを作りました。
ピッツァの大会で優勝した大西氏も取り込んで
ピザ屋も展開しています。
本来、グラナダが
ナポリピザを修行してきた職人を取り込んだのが最初のはずですが、
今では大西氏の方が、知名度が高いでしょう。
そして、
無理に金髪に染めて後ろの髪を前に流している辻口氏を取り込んで、
不得意なショコラの店を出してきたのは有名です。
そして「モリモト ゼクス」。
やはり店ではなく料理人にスポットを当てています。
両社の店はもともと実がないですから長く続くとは思えませんが、
それでも短期でみれば
ワイズの戦略のほうが当たったと言えるでしょう。
たいした料理人ではないにしても、
うまく宣伝してカリスマ化してしまえば、
ある期間集客に苦労しないという証左。
店ではなく、
料理人自身との提携が明暗を分けたといえると考えます。
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