自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第833回
グルメ・セレブリティーズって何だ? 1
批評性なんてまったくないぜ

読者の皆さんとのメールのやりとりは有難いものです。
色々な情報やコラムネタを提供していただける為、
ネタ不足に悩む友里としては大変助かっております。
そしてこの「グルメ・セレブリティーズ」(大谷浩己著・ぴあ)も
最近教えていただいたネタ元です。
前著の「フランスワインの12ヶ月」がまったく売れなかったのに
性懲りもなく再び出版してきた蛮行は、
友里も同じですから批判できません。
あの犬養裕美子さんの「ハッピーレストラン」も
思惑がはずれて初版の刷りすぎなのか、
増刷がなかったと記憶していますが、
続編が11月下旬に発売されているはずです。
まったくこの手のライターの本は
売れないのが証明されているのですが、
凝りもせず出版してくるのは、
出版社のコンテンツ不足だからでしょうか。

さて、早速購入してあとがきから先に目を通しました。
というのも、この本は「書き下ろし」ではなく、
ほとんどが数年前からの雑誌の連載からの転用で
新鮮味がなかったからです。いくらか追記はありますけど。
そこでこの友里を暗に名指して批判している一文を発見しました。

どんな媒体を見ても料理に関する記事が溢れているが
ほとんどは新店紹介の「粋」をでず
(ママ 「域」のミスプリでしょう)、
批評性が乏しいことが
「下品で悪質な『匿名批評』などが
跋扈する状況を生み出しているのではないか」
と発言されております。
よって出版社の依頼に際し、
「批評性のあるポートレートを書かせてもらいたい」
と申し出を喜んで受けたとのこと。
品が良いとは思っていませんが、下品とも自覚していな私ですが、
店で大声出して自慢話を繰り返し、
居丈高な態度をとっている大谷氏本人も
下品でないと言えるのかどうか。

しかも、自身もバンバン店宣伝に徹し、
批評性のない紹介文を連発しているのに、
よく棚に上げて言えるもんだとその厚顔に驚きました。
またペンネーム=匿名批判への反論は
何回もさせていただきましたので割愛しますが、
あの「三島由紀夫」を大谷氏は「匿名作家」と呼ぶのでしょうか。
具体的に匿名批評の例をそろそろ挙げて
批判してもらいたいものですが、
あとがきのわずか数行でチラッと批判するところに
氏の後ろめたさと小心さを感じてしまいます。

そして一番の問題点。
題名は食通の方をセレブと称したのかと思っていたのですが、
何と親交のある料理人30人をセレブと称して、
本の内容はその経歴や裏話を美談仕立てまとめただけのものでした。
おいおい、ちっとも「批評性」なんてないぞ、
と思うのは私だけではないでしょう。
大手の書店では平積されているのも見ましたが、
発売わずか2ヶ月だというのに、
アマゾンでの順位は10万位をかるく超えていて、予想通りの不振。
でも、ネタ的にはいくつか参考になるところもありますので、
シリーズ化して何回か取り上げてみたいと考えます。


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2005年12月2日(金)

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