自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第776回
再びゴードン・ラムゼイのロマコンについて

第744回のコラムで、ゴードン・ラムゼイのワインの値付け、
特に1989年のロマネ・コンティの価格について問題提起しましたが、
それに対して色々なご意見があるようです。
稚拙な文章のコラムのため、
私の真意がご理解いただけないと反省、
ここにご指摘をうけた部分に対して
あらためて述べさせていただきます。
(ネタ不足解消にもなりました)


1、流通価格でワインを売れ、
  そうでなければボッタクリだ、というのはおかしい

私は飲食店に対して、流通価格で売れ、
とは一言も行っておりません。
流通価格に対する掛け率に着目して、
何倍以下だから値付けが安い、何倍だから値付けが高い、
とは主張していますが、それは掛け率の低い店がいくつも存在して
繁盛している現実から述べているにすぎません。
ただ、ゴードン・ラムゼイの支配人(コンラッドの支配人か?)は
50万円が流通相場のロマコンを、
「225万円で店に出しているが、
素晴らしいワインで流通相場と変わらない価格」
と非常識な弁解をしてきたので問題にしたのです。
ロンドンなどの老舗のワイン商にオファーを出せば
すぐ89年のロマコンは50万円前後とわかるのですが、
それを知らずにこんな主張をしているならば「まったくの無知」、
知っていても流通価格は200万円だと強弁しているなら、
それこそ「日本人を舐めている」と言わざるを得ません。

一般に、高くなればなるほど
ワインの掛け率は低く設定するものです。
数千円のワインを2倍にしても粗利は数千円ですが、
何十万のワインを倍にしたら、
一気に何十万も粗利が出てしまうからです。
まして50万円のワインを200万円以上で売ったら、
150万円以上粗利が出てしまいます。
この50万円前後の価格帯のワインを4倍以上で売るのは、
やりすぎと言えるでしょう。


2、店の「魔よけのワイン」、「お飾りワイン」なのだから、
  ケチをつけてどうする。どうせ飲まない見世物ワインだ

何十年も昔のロマコンなら、
「お飾りワイン」としてワインリストのスターとなるでしょうが、
1989年のロマコンはそんなに珍しいものではありません。
第三次ワインブームの直前頃にリリースされたもので、
ワイン好きの方ならば、サントリーの売り出し小売価格が
10数万円であったと記憶されているはずです。
ちょっとしたワイン通、ワインコレクターのセラーには、
この1989年のロマコンクラスのワインは、
少なくとも1本や2本保管されているほどのもので、
有名店、とくに3つ星の支店と銘打って
大々的に売り出してきた店の
「お飾りワイン」、「魔よけのワイン」というには
まったく役不足だと考えます。
そんなワインが、価格だけ「お飾りワイン」、「魔よけのワイン」
並みの価格をつけているのですから、
「日本を舐めている」と私は主張したのです。
エルミタージュ ドゥ タムラでは、
1972年と山本博氏の著書、「ロマネ コンティ」で
高評価されている30年以上前のロマコンが、
40万円を切っている現実をラムゼイ関係者は知らない、
まさに日本市場の勉強不足と考えます。


←前回記事へ

2005年10月6日(木)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ