第777回
マスヒロさんへの根本的な疑問 2
飲食のすべてがわかるとは思えない
人には好みがあります。
嫌いとはいわないまでも、より好ましいものが存在するわけでして、
料理に関しても、大きくわけて
和食、フレンチ、イタリアン、中華、その他
とジャンルの中で好き、得意というものがあるはずです。
また、歳とともにその好みも変化してきます。
私は食べることは一応何でも好きですが、
好みなのかどうか、中華を食べる機会は他の料理に比べると少なく、
フレンチも最近は減ってきました。
数(経験)が多ければいいというわけでないということは、
犬養裕美子さんが
とんでもない店をバンバン宣伝しているという実態から証明された
確固たる定説となっていますが、
それでもないよりはあった方がいいのが経験です。
友里は酒飲みでして、ほとんど甘いものを食べません。
コースで出てくる場合は食べますが、
自分からオーダーすることはないでしょう。
ですから、今で言う「スウィーツ」というものは
まったくおいしいのかどうかわからず、
コメントは出来ないので取り上げておりません。
しかし、世の自称料理評論家、
フード・レストランジャーナリストたちは、飲食に関して幅広く、
いかにもすべてに専門家だと言わんばかりにコメントしていますが、
私はそれが不思議でならないのです。
その代表者がマスヒロさんでしょうか。
フレンチ、イタリアン、スパニッシュ、懐石、鮨、天麩羅から
カレー、洋食、丼物などのB級、
そしてスウィーツ、ワインに至るまで
薀蓄を並べていらっしゃいます。
まして、オペラやクラシック音楽、
イチローの評論にまで進出するのは信じられません。
雑誌や週刊誌のレギュラーをいくつも抱えているので、
ネタ切れを避けるため
何でもかんでも手を出しているというのが実態でしょうが、
そんなにすべてのことがお分かりになる、味がわかるのでしょうか。
その自信は何を根拠にあるものなのか。
下積みを経験して、一発当てて生活も安定してから
慌てて食べまくって自称グルメになっている「放送作家」と
たいして違いがないのではないか。
彼が主催する会でのトークでは、
よくご自分の食経歴を披露されています。
しかし、どのような形態の学部かはっきり言わないですが、
早稲田大学生となるまでは、
主に浅草など下町を中心にした洋食や丼物がメインだったのこと。
弁天山の先代やお茶の宗家に可愛がられて色々な料理を経験し、
フランスに渡って本場を食べ歩いて経験を積んで
華々しくデビューされたと記憶していますが、
はっきり言わせていただくと、
そのような泥縄、付け焼刃的な詰め込みで
すべての料理がわかる境地に達すことができるものなのか。
自分の舌が一番だとの自信も、
あの「辻静雄氏のお墨付き」と同じで、
言った者勝ちなだけではないかと。
彼がワインにまったく詳しくないであろうことは
このコラムで例を挙げて述べましたが、
ワインに対してもいかにも詳しいような態度を
未だにとり続けています。
そして、ワインなど酒類と対極に位置するスウィーツに対しても
一家言あるということに、私は疑問を持たざるを得ないのです。
小さいころから食べていた丼物専門ならばわかりますが、
本当に、和食、フレンチ、イタリアンが
お分かりになっているのかどうか、
彼が宣伝している店の料理を食べた、先入観をもたない読者が、
その判断を下してくれると信じています。
かくいう私、友里も経験はたいしてなく、
舌にもそれほど自信はないのですが、
へそが曲がっているだけにちょっと違った着目点があるだけの、
自称コラムニストであります。
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