| 第664回フカヒレについて その4
 フカヒレの本調理
 
 最近は中国本土での魚翅の需要が急増しているそうで、サメの確保も年々難しくなってきている折、
 相場物であるこの食材はどんどん高価になってきているようです。
 前回述べましたが、フカヒレはほとんどの店が、中間加工業者から冷凍魚翅として仕入れているとの事。
 その店の格や価格帯に合わせて、キロ単位で一つのヒレの重量は
 50グラム、100グラムと異なりますが、
 20枚、10枚単位での価格となるようです。
 どんな食材にも質の上下があるのと同じく、
 魚翅にもランクがあり、価格も異なるとか。
 上には上があるので太い繊維のアオサメなどはわかりませんが、
 一般に普及品でキロ18,000から20,000円、
 やや格落ちで15,000から16,000円、
 そして更に下の物もあるそうです。
 フカヒレで有名な「筑紫楼」など。50グラム5,000円とメニューに書いておきながら、
 何回か私は「今日は100グラム以上のものしかありません」
 と売り上げ倍加を狙う営業方針を聞いて断念した経験があります。
 コースではしっかりフカヒレが組み合わされているのですが、
 コースの一品が100グラム以上であるとはとても思えません。
 不思議な営業方針なのですが、普通の料理としては、
 30グラム程度でも充分味わえる重量ではないでしょうか。
 仮に50グラムを使用した場合、19,000円のランクで考えますと、19,000円÷(1キロ÷50グラム)で
 フカヒレ仕入れ価格は950円前後となるでしょう。
 これに他の食材や調味料、光熱費、償却費など
 人件費を除いた経費を加えた原価は、
 店の規模にもよるでしょうが
 1300〜1400円といった辺りではないかと想像できます。
 多くて1500円程度でしょう。
 仮に5000円で売るとしたら、
 立派に原価率30%以内におさまっているのがわかります。
 これらの数字は、私に教えていただいた「たった一人」の方からの情報によるものです。
 物が物だけに多店で裏を取ることは出来ませんでした。
 以前に私が書きました
 「白トリュフ」や「黒トリュフ」の仕入れ値のように
 何箇所から聞きだしたものではありません。
 もし修正が必要な数値でありましたら、
 修正に応じるつもりでありますが、
 原価率の定説にもすっぽり当てはまっていますので、
 かなりの確度のあるものと考えます。
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