第665回
ワインの諸々 その59
ワインの飲み放題とは
以前から鮨やシャブシャブなどに「食べ放題」はありました。
有名な「雛寿司」に昔一回行ったことがあるのですが、
手書きで限られた貫数しか1回に注文できず、
残したらその分請求する、といった警告文も気になって、
肝心の寿司自体も疑問のもので
楽しめる雰囲気ではありませんでした。
反面シャブシャブは、多少の肉質の問題を、
ゴマダレや薬味がカバーしてくれますから、
私は結構気に入っています。
最近はこの寿司とシャブシャブを組み合わせた「食べ放題」も出現。
質や雰囲気より量だというニーズはまだまだあるようです。
その他居酒屋、中華でも宴会コースでは料理ではなくて
酒類の「飲み放題」がよく設定されています。
ビールや日本酒、紹興酒の他、
なんだか得体の知れないワインを出すところもありますが、
これらの店は料理もそれなり、
はっきり言うと本格的なものではないものが
ほとんどと言っていいでしょう。
ところが最近、料理もそれなりに本格志向で安く、
そしてワインも安く飲み放題にしたイタリアンが人気です。
西麻布の「ダルマット」。
連日満席でなかなか早い時刻には予約が入れられない
18時から明け方までやっている店ですが、
先日訪問する機会がありました。
詳しくは後のコラムに譲るとして、今回はワインに注目です。
この店は、ビールやスプマンテさえ飲まなければ
(つまり白、赤ワインのみ)、
いくら飲んでも食事とあわせて6千円ほどで上がってしまいます。
(コペルトが500円別、エスプレッソなども別料金)
料理が4500円前後、ワインは白、赤共に飲み放題で1500円。
他の店なら、疑問のワイン
(抜栓からかなり時間が経った味のよくないもの)でも
1グラス分に相当するかもしれない価格で、
白用、赤用のグラス二つを同時に並べて代わる代わる飲み、
お替りしてもかまわないのです。
一回毎にデキャンタで出てきますから、
雛寿司のようにお替りの手間はなく、
デキャンタのワインを残しても文句を言われません。
白ワインは造り手を確認できない「ソアベ」、
赤はラベルに「サンジョベーゼ」と品種名ですから
テーブルワインでしょうが、回転が速いからか、
アザブハウスで出るヘタッたグラスワイン1杯分の価格を考えると、
飲み放題ですから文句は言えません。
料理も価格を考えれば量も充分、
パスタやメインなどではかなりイケるものもありました。
まったく客が入っていないイタリアンが数多い西麻布において、
私でさえ儲かっているのか疑問の営業方針ですが、
いつまでも続けてもらいたいと考えます。
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