自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第511回
東京の客を舐めるな、よねむら 1

銀座の交詢社ビルへ進出して来なかったら、
私は訪問するどころか
一生その存在を知ることがなかったでしょう。
京都の地元では
人気の和洋をクロスオーバーした創作料理とのことですが、
東京では同じレストラン業界の人でも知らない人が結構いる、
京都の似非創作フレンチ店が銀座に進出してきました。
カウンター料理をウリにした、40席前後の結構大箱な店。
いかにもダイニング系と思わせる外観と内装なのですが、
閑散とした店が多い交詢ビル飲食店の中では、
集客が順調なのが不思議です。

まず価格が高い。
完全コース制でランチは6千円、9千円、1万2千円。
「ロオジエ」より高い価格設定にはびっくり。
夜は1万4千円だけとこれまた高い。
この値付けでよく京都の人が入っているなとネットで調べたら、
地元では夜が1万円くらい、ランチは5千円、7千円、9千円と
3割ほど東京店は値上げておりました。
この価格差は地代の差額として
すべて交詢社に吸い上げられたわけではないでしょう、
これでも東京人はやってくるだろうと
舐めてかかっていると考えます。

客層を見ると、昼は若いカップルやオジサン一人客、
夜は男女のグループ客が目立ちます。
要は本格的なフレンチやイタリアンを
食べこんでいる客層ではないということ。
初めての訪問なのに雑誌で仕入れた知識なのか、
裏メニューを出せといった若いカップルが
ランチで1万2千円を頼んでいたのには驚きました。

料理は少量のやや多皿スタイル。
6〜9皿と価格で皿数が異なるようですが、
ほとんどの料理は、用意されている箸で食べられるもの。
似非創作系フレンチの特徴です。
また昼夜の訪問でいくつか同じような料理にも遭遇しました。
スッポンのスープは昼夜まったく同じ。
エンペラまで入っていて入門者には受けるかもしれませんが、
味わいに深みがなく技術と質の両方に問題あり。
〆に出てくる薄い和牛のステーキとカレーライスも
その辺の洋食屋で出会えそうなものでほとんど一口タイプです。

<明日に続く>


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2004年12月20日(月)

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