第510回
ワインの諸々 その42
リーデルのワイングラスについて
最近はカトラリーやワイングラスのメーカーも
色々知られてきまして、
訪問した店がどのようなメーカーを使っているかに
興味ある方も多くなってきたと思います。
私は数少ない得意分野だからでしょうか、
ワイングラスにどこのメーカーを使っているかを
まず見てしまいます。
いまではかなり有名になってしまった、
オーストリアの「リーデル」。
昔は本国の数居る副社長の一人が来日しまして、
ワインテースティングならぬ
「グラス テースティング」と称するイベントを
料理店や食器売り店で展開していました。
違ったワインを飲み比べるのではなく、
同じワインを違った形状のグラスで飲み比べて、
どうだ、味わいがかわるだろう、と迫ってくるのです。
このメーカーのウリは、
各ワイン、セパージュによって
形状や大きさを変えたグラスを用意していることです。
ボルドーやブルゴーニュの白、赤用だけなら可愛かったのですが、
ローヌだ、トスカーナだ、甘口だ、と
どんどん種類を増やしていきました。
扱っている店でも全種揃えている店はないのでは
というくらいの乱造です。
我々ワイン好きも、最初は付き合っていましたが、
数え切れない種類を1ヶではなく何客も揃えなければならず、
その費用と保管場所の問題で、
脱落してしまった人が多いのではないでしょうか。
彼らの根拠は、戦時中にだか、
ドイツのドクターがモニターを使って調査したデータです。
綿棒に砂糖や、辛いものなどをつけて舌のいろいろな部分に触れ、
どの部分がどの味を感じたかを集積したものなのですが、
それをどうやってグラス形状に生かしているのか、
またドクターが調べた
そのモニターの数が少なかったという噂もあり、
私はあまり信じておりません。
なにしろ、日本酒、
たしか吟醸酒用のグラスまで造り出してしまったのですから
驚きというかかえって眉唾物になってしまったと考えます。
リーデルでは、
普及用やお店用として「ヴィノム」シリーズというのがあります。
定価は3千円くらいですが、それでも高額店にしか見られず、
普通の価格の店では、
形状を真似た廉価版の他社製を使っています。
しかし、今は違いますが総代理店であった店で私が購入した時代、
常連になれば5掛けくらいになったと記憶しています。
つまり実際のインポーターの輸入価格は
1千円以下なのかもしれません。
「ソムリエ」シリーズという
定価で1万円くらいの手ふきのグラスもありますが、
危なくて家でほとんど使っていません。
食器棚の奥で、おそらく埃をかぶって
我が家のソムリエシリーズは泣いていることでしょう。
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