自腹ゆえに本音、愛するがゆえに辛口。
友里征耶さんの美味求真

第491回
「あさみ」よりちょっとはましか、銀座うち山 2

では夜の1万円コースはどうかというと、
これもまた期待を裏切るというか、
予約が困難な店というのに
出色のものに一つもめぐり合えない普通の皿が続くのです。
定番の焼胡麻豆腐は前述の通り。
鱧の落としも、
梅肉と醤油と煮きり酒を合わせた付けタレが濃すぎです。
食材の質を隠したいと読みました。
その時期のマコガレイも水っぽいものをポン酢で食べ、
蒸し鮑も凡庸。
今どき質や技術を問わずに
鮑というだけで喜ぶ客だけを対称にしているのでしょうか。
夏場の鮎にしても
どこでも出会えるもので最後はワンパターンの辛目の鯛茶です。

そして、酒類の価格が開示されておらず、
普通に飲んで一人1万5千円を軽く超える価格設定にも
疑問を持ちました。
「そっ琢」、「あさみ」そしてこの店と、
ここ数年で銀座にオープンした
1万円台和食の実力以上の人気に友里はおおいに疑問です。
鮑や鯛、ウニなど
世間的には高級食材と言われるものを使っていますが、
その質は必ずしも良いものではありません。
アイテムだけで客を釣り、
しかし実力を示す出汁が凡庸な店が流行るとは、
銀座でランチやディナーに駆けつける
女性客の判断がかなり甘いのではないかと考えます。

<結論>
何の変哲もない価格に合った普通レベルのコース和食。
ランチもディナーも何も傑出していません。
何故にこれだけ人気があるのか、
客側も再考の余地があると考えます。
3千円余計に払えば、食材、技量とはるかに上回る
同じ銀座の「小十」が楽しめます。
客側もマスコミや変な口コミに踊らされず、
冷静な判断が必要です。


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2004年11月30日(火)

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